ビジネス・経済 2017.10月号

【連載】カシコン銀行経済レポート 2017年9月号

タイ経済・月間レポート(2017年9月号)

2017年7月のタイ経済情報

7月もタイ景気は引き続き拡大基調

  • 2017年7月のタイ経済は引き続き拡大しました。前月までと同様に輸出と観光業に支えられています。また、民間投資と公共支出も拡大し、製造も上向きました。しかしながら、民間消費はサービス支出の伸び鈍化で前月から減速しました。
  • 2017年7月の消費者物価の上昇率は、7月の前年同月比0.17%増から同0.32%増となり、2ヵ月連続で上昇しました。原油価格の上昇に伴い、非食品部門が上昇しました。一方で、振れ幅の大きい生鮮食品とエネルギーを除くコア・インフレ率は、前年同月比0.46%の上昇で、前月から伸びが横ばいでした。
  • ここ数年、タイの電子製品輸出は、縮小傾向が続いていました。とりわけ、タイの電子製品輸出の構成品目の5割弱を占めるコンピューター関連製品が大幅に減少した影響を受けていました。コンピューター関連製品の落ち込みの主な理由は、スマートフォンやタブレットの普及が進むのと対照的に、コンピューター需要の低下でタイの電子製品輸出全体に下押し圧力がかかったためです。
  • しかし、タイの電子製品輸出は2017年に回復基調を辿っており、2年ぶりにプラス成長に転じると予想します。その主な要因は、ハードディスク駆動装置輸出の急増、集積回路輸出の成長、およびスマートフォン輸出の拡大によります。カシコンリサーチセンターは、2017年のタイの電子製品輸出額を前年比7.2~9.4%増の347~354億米ドルになると予測します。昨年の同0.8%減から大幅に拡大する見通しです。

2017年7月のタイ経済情報

タイ中央銀行が発表した2017年7月の重要な経済指標によると、タイ経済は拡大を続けています。前月までと同様に輸出の増加と観光業の好調がけん引した格好です。それに加え、民間投資と公共支出も拡大し、製造も上向きました。一方で、民間消費はサービス支出の伸び鈍化で前月から減速しました。
7月の民間消費は前年同月比2.3%上昇し、前月の同3.4増を下回りました。農産物価格の下落により、農業所得が今年初めて収縮に転じたことが一因ですが、耐久財の消費は拡大しています。一方で、非農業部門の家計の所得は横ばいでした。
一方で、民間投資は前年同月比0.9%上昇し、前月のマイナス成長からプラス成長に転じました。商業セクターにおけるバンコクの建設事業の増加や機械・設備投資の拡大が寄与しました。


7月の輸出は、前年同月比8.0%増の187億米ドルとなりました。金を除いた輸出額は同12.2%増加しました。海外需要増で輸出が伸びているのは、電子製品と映像機器で、特にモノのインターネット(IoT)機器向けの集積回路、カーエレクトロニクス、スマートフォンの新機種向けの部品が伸びています。

工業生産に関しては、前年同月比3.7%増加し、前月のマイナスからプラス成長に転じました。輸出の好調を受けて生産が回復しました。車両のエンジンと食品・飲料がそれぞれ同26.7%、同10.7%と2桁のプラス成長を記録しました。

観光業では、外国人観光客数が前年同月比4.8%増の310万人となりました。ほぼ全ての国からの観光客数が増加しました。特に中国とCLMV諸国を初めとするアセアンからの観光客が増えています。ただし、観光客数の伸びは前月と比べ鈍化しました。前月にラマダン明けを祝う祝日の影響で観光客数が高い伸びを示していたマレーシアとインドネシアからの観光客数がその反動で減少したことが一因です。

2017年8月のタイのインフレ率

商務省が発表した2017年8月のヘッドライン・インフレ率は、7月の前年同月比0.17%増から同0.32%増となり、2ヵ月連続で上昇しました。原油価格の上昇に伴い、非食品部門が上昇しました。

品目別にみると、構成品目全体の64%を占める非食品部門が前年同月比1.0%上昇しました。大型ハリケーン「ハービー」が米南部を直撃したことなどから石油の生産量が落ち、原油・石油関連製品の価格が上昇傾向にあります。しかしながら、食品・飲料部門は同0.9%下落しました。下落は5ヵ月連続で、前月から落ち込み幅が拡大しました。
一方で、振れ幅の大きい生鮮食品とエネルギーを除くコア・インフレ率は、前年同月比0.46%の上昇で、前月から伸びが横ばいでした。

出所:タイ国中央銀行、タイ国工業省、タイ国観光・スポーツ省

2017年9月の外為相場

9月上旬に北朝鮮が6回目の核実験に踏み切ったことを受け、投資家のリスク回避志向が強まり、円高の要因になりました。しかし、9月中旬に入ると、北朝鮮リスクへの警戒感が後退し、円相場が大幅に続落しました。円対ドルの変動について、9月15日には1ドル=110.8円の終値をつけ、8月21日の1ドル=109.0円から円安傾向を見せました。

2017年電子製品輸出は通常ケースで8.3%増2年ぶりの増加

ここ数年、タイの電子製品輸出は、マイナス成長が続いていました。とりわけ、タイの電子製品輸出の構成品目の5割弱を占めるコンピューター関連製品が大幅に減少した影響を受けていました。コンピューター関連製品の落ち込んだ主な理由は、スマートフォンや、タブレットの普及が進むのと対照的に、コンピューター需要の低下でタイの電子製品輸出全体に下押し圧力がかかったためです。

しかし、タイの電子製品輸出は2017年に回復基調を辿っており、2年ぶりにプラス成長に転じると予想します。カシコンリサーチセンターは、2017年のタイの電子製品輸出額を前年比7.2~9.4%増の347~354億米ドルになると予測します。昨年の同0.8%減から大幅に拡大する見通しです。
2017年の電子製品輸出の成長を支える要素は次の3つです。

要素1 ハードディスク次駆動装置(HDD)輸出の急増

世界のコンピューター市場が、買い換えサイクルに入ったことにより、ハードディスク駆動装置を初めとするコンピューター関連製品の輸出が増加傾向にあります。現在、タイのハードディスク駆動装置の輸出額は、電子製品輸出額全体の約30%を占めています。カシコンリサーチセンターは、2017年のハードディスク駆動装置輸出額は、前年比6.9~9.3%増の106~108億米ドルになると予測します。

要素2 集積回路(IC) 輸出の成長

近年、自動車や家電製品などに電子制御技術が導入され、スマート・デバイスを実現し、電子化の時代に突入したことから、世界市場で集積回路の需要が高まっています。
また、近年、海外企業、特に日系企業は、タイにおける集積回路、特に車載用センサーの需要急増を満たすために、タイで新工場建設や生産設備拡張を行なっています。とりわけ、後工程と呼ぶ検査や組み立ての工程への投資が増えています。
このことにより、タイの集積回路の輸出は引き続き拡大傾向にあります。カシコンリサーチセンターは、2017年の集積回路の輸出額は、前年比8.2~10.4%増の83~85億米ドルになると予測します。

要素3 スマートフォン輸出の拡大

近年、日系メーカーの1社がスマートフォンの生産拠点を中国や日本などからタイに再配置したことにより、タイのスマートフォン・部品の輸出が著しく増加しています。カシコンリサーチセンターは、2017年のスマートフォンの輸出額は、前年比170.0~174.2%増の12.7~12.9億米ドルになると予測します。

一方で、2018年のタイの電子製品輸出は、2017年と比べ減速傾向にある見込みです。
その主な理由は、コンピュターの買い換えサイクルのピークは今年であり、来年に入ると徐々に減速傾向にある見通しです。よって、タイのハードディスク駆動装置の輸出に下押し圧力がかかると考えられます。

それに加え、世界のスマートフォン市場の競争は激しいので、タイのスマートフォン輸出展望は、タイに生産拠点があるスマートフォン・メーカーのブランド戦略により、製品がどの程度世界市場で受け入れられるかによります。
しかしながら、集積回路の輸出は、依然としてタイの電子製品輸出の原動力となっています。自動車と家電製品の電子化が進んでいるため、これから先も、タイの集積回路の輸出はますます拡大すると見込まれます。

カシコンリサーチセンターは、2018年のタイの電子製品輸出額は、前年比3.0~5.1%増の361~368億米ドルになると予測します。

本資料は情報提供を唯一の目的としており、ビジネスの判断材料とするものではありません。掲載されている分析・予測等は、資料制作時点のものであり、今後予告なしに変更されることがあります。また、予測の妥当性や正確性が保証されるものでもありませんし、商業ないし何らかの行動の為に採用することから発生した損害の責任を取れるものでもありません。本資料の予測・分析の妥当性等は、独自でご判断ください。

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