ASEAN BUSINESS PERSON

27年育んだ信頼と技術力・M&Aで新興アジア市場を攻める

ASEAN地域で活躍する日系企業を紹介
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LIXIL Corporation TOSTEM THAI CO., LTD.

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LIXIL Corporation TOSTEM THAI CO., LTD.
下長 愛史 しもなが よしふみ

27年育んだ信頼と技術力・M&Aで新興アジア市場を攻める

2011年の5社統合により日本最大手の建材グループ企業となったLIXIL。アルミサッシ・建材事業の前身であるトーヨーサッシ時代の1987年、初の海外生産拠点として設立されたのがTOSTEM THAI CO., LTD.だ。社長の下長氏とタイの繋がりは当時まで遡る。
「日本国内のシェア拡大と共にさらに大きな工場が必要となり、生産コストの優位性から設立されたのがタイ工場です。初めての海外生産拠点ということで、国内の工場から選ばれた精鋭が設立のため渡タイしました。その頃、私が勤務していた有明工場 (熊本県)の課長も第一期立ち上げ部隊に選ばれ、その後任として初めて課長職に就いたことを覚えています。当時タイから技術を学びに来日した研修生の中には、現在のタイ工場の管理職に就任している者も十数名おり、活躍してくれています」。

大洪水も乗り越えたタイ人従業員との固い絆

LIXILは日本国内アルミサッシシェアの約50%を占めており、うち30%の生産をタイ工場が担う。つまり日本全体のアルミサッシ供給の約15%がタイ工場で生産されている
という計算になる。タイ工場の事業は日本向けアルミサッシだけではない。高品質なアルミ押出・加工技術を生かし、タイ国内の日系自動車・家電・電子部品メーカーからの部品
受注生産も20年以上に渡り行われている。
そのタイ工場が2011年10月、未曾有の大洪水に襲われた。幸い約7000人の従業員に被害はなかったものの、浸水による操業停止を強いられることに。
「当社の会長が当時の外務大臣に掛け合い、日本の工場へ生産を一時移管するため、特例措置で2000名のタイ人従業員を日本の工場へ派遣することができました」。
当時、下長氏が工場長を務めていた三重県・久居工場にも約5ヵ月に渡り、420名のタイ人従業員を受け入れたそうだ。
「タイ人従業員は優秀に働いてくれましたし、タイに残った従業員も自宅が被災しているにもかかわらず、水が引いたあとの工場復旧に尽力してくれました」。
4ヵ月間の停止期間を経て、2012年2月、タイ工場は再稼働を果たす。その間、同社が解雇した従業員はゼロ。全員がそれぞれの地で復旧に向け働いた。
「当社は研修体系に注力しており、品質・生産性を改善するための技術習得を奨励しています。日本の工場の生産ラインと比較することで自分の弱い所を見極め、各々が技術力
向上に邁進しています。改善活動で優秀な成果を出してくれたグループに月に一度、みんなの前で表彰・賞金を授与する〝President Award〞も継続して行っています。この活動が従業員のモチベーション向上に繋がっています」。
今年10月からベトナムのロンドゥック工業団地で操業を開始した新工場にも、タイ工場から技術指導者が赴任。27年前、日本とタイの間で行われた研修が今、タイとベトナムの間で行われているそうだ。

成長する新興国需要を掴む

現在、同工場の生産は大半が日本国内向けとなっている。縮小する日本市場と為替リスク回避の必要性からも、下長氏はタイを含むアセアン地域向け生産を増やし、この割合を近い将来50対50まで引き上げたいと話す。
「国外ではミャンマーの一部デベロッパーに供給を開始済みです。人口の多さからインドネシア市場にも注目しており、今年春には現地にアルミサッシ加工工場を開業しました。昨年、グループ傘下に収めた衛生陶器メーカーのアメリカンスタンダード・ブランズがアセアン域内で持つ販売ルートを活かし、展開を進めていく予定です」。

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受注生産している、日系自動車・電気関連メーカーの部品サンプル

 

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株式会社LIXIL
東京都千代田区霞が関三丁目2番5号
霞が関ビルディング36階
LIXIL Corporation
TOSTEM THAI CO., LTD.
60/2 Soi Navanakorn 11, Moo 19, Phaholyothin Road,
Klongnueng, Klongluang, Pathumthani 12120
TEL : 02-529-0475, 02-750-3877

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