ASEAN BUSINESS PERSON

豊田通商の新たなチャレンジ タイの自動車アフターマーケット部品市場に ECで参入

ASEAN地域で活躍する日系企業を紹介
ASEAN×BUSINESS×PERSON
TOYOTA TSUSHO ASIA PACIFIC PTE. LTD.

新井隆弘 あらい たかひろ

トヨタグループの総合商社として世界各国で事業展開している豊田通商が、2017年5月、タイにおいて電子商取引サイト「TYREPAC(タイヤパック)」を立ち上げる。タイ政府の所轄であるOCPB(Office of The Consumer Protection Board:消費者保護委員会)の認可を取得したタイヤ販売サイトでは初となる。

TYREPACを通じ、個人・法人ユーザーはブリヂストン、ミシュランなど各ブランドのタイヤをオンライン上で比較、購入することができる。2017年4月時点でバンコク、チョンブリ、ラヨン、にあるタイヤショップと提携し、購入したタイヤはこれらの加盟店で交換・取付できる仕組みだ。順次国内全土に提携ショップを拡大させ、ユーザーが自宅から半径約5キロ圏内に整備場を見つけられるようネットワークの構築を目指す。
3月にまず社内やグループ社員を対象にサービスを提供し、得られたフィードバックから改善を繰り返してきた。2ヵ月間の試運転を経て、この5月に正式にサービスを開始する。

成熟市場に挑む

タイヤ交換やメンテナンス、修理といった車のアフター市場の歴史は古い。TYREPAC事業の舵を取る新井氏は、「最初は市場が成熟しすぎていて、消費者の受容性が低いのではと思った」と打ち明ける。
「先進国の事例から行き着いたのが、オンラインのタイヤ販売でした。東南アジアではほぼ100%に近い自動車ユーザーが店頭でタイヤを交換していて、ポータルサイトの利便性にまだ気付いていない層がいる。これなら後発でも参入が見込めると思いました」。
ECサイト運営のノウハウはなかったが、パートナー探しに奔走、市場を調査し、2年でローンチに運んだ。四輪車の保有台数ではマレーシア、インドネシアも候補地だったが、EC市場の成長率、スマートデバイスの普及率の高さに加え、タイにはロジスティクスで必要になるインフラの素地があった。理由はほかにもある。
「タイヤの買い替え頻度から予測すると、タイでは年間1500〜2000万本のタイヤ販売が見込めます。単純に月換算して約150万本。タイヤ販売全体の市場でECが獲得できるシェアが1%だったとしても、その数は1万5000本と、チャレンジするだけの市場がありました」。

最終消費者と作り上げる事業

それでも、これらの数字に蓋性を求めるつもりはないと新井氏は話す。
「本事業は顧客認知を高め、利用者から得られたレビューを反映することをより重要視し、市場の生の声から学びながら、顧客ニーズとマッチしたサービスを常に目指していきます。
経済合理性や一般的な経営者の観点を当てはめて仮説も立てましたが、その通りのフィードバックが得られず、タイのスタッフと検討に検討を重ね、立ち上げるまでには思っていた以上の時間がかかりました。タイ市場の難しさは痛感しています。それでも、タイも日本が経験したのと同じ軌跡を辿るはずで、事例がないわけではありません。タイヤが軌道に乗ったら、次はオイルやバッテリー、アクセサリなどを商品に加え、いずれは車の総合ウェブデパ ートに育て上げたいと思っています。成功に向けて、長期的な視点で取り組んでいきます」。

タイヤのECサイト、「TYREPAC」のトップ画面

TOYOTA TSUSHO ASIA PACIFIC PTE. LTD.
600 North Bridge Road #19-01 Parkview Square Singapore 188778
+65-6222-3711
【TYREPAC】http://tyrepac.co.th

TOYOTA TSUSHO (THAILAND) CO., LTD.
607 Asoke-Dindaeng Road, Kwaeng Dindaeng, Khet Dindaeng, Bangkok 10400
+66-2625-5555

gototop