日本人会計士が話す、在タイ日系企業の「会計のあるべき姿」③

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ステージ3 会計情報を経営判断へ活用

現地経営者が抱える会計の課題について、ArayZでは「会計のあるべき姿」をテーマに公認会計士であるBBSタイランドの西川氏へインタビュー。
現地経営者のためのアドバイスを3ヵ月連続で紹介する。

乗り越えるべき3つのステージ

西川氏が挙げる、タイ会計実務の課題は大きく2点、『会計数値が不正確かつ出来上がりが遅い』そして『会計情報が経営に活用されていない』という現状だ。
「会計の本来の目的の1つは会社の実態を数字で表現し、それを経営判断に活用することです。会計数値という確かな情報に基づき経営判断をすることで、感覚だけでない、より安定感のある経営が可能です。
『正確かつタイムリーな経理』と、『会計情報の経営への活用』を実現するためには、

  1. 記帳代行から自社経理への切替え
  2. 社内不正などの自社経理によるデメリットの克服
  3. 会計情報の経営への活用準備

という3つのステージを乗り越える必要があります。過去2回にわたり、①②について解説してきましたが、今回は最終目的である『③会計情報の経営への活用準備』についてお伝えしたいと思います」。

会計と経営は密接に関わっている

「会計は経営の実態を数値で表現したものであり、その数値に基づいて次の経営判断が行われるという関係です。稲森和夫氏も著書『実学ー経営と会計(日経ビジネス人文庫)』において、『会計がわからんで経営ができるか』と述べています。会社経営にあたっては、会計は『知らない』では済まされない世界です。
例えば、会社の利益率改善が目標の場合、先ずは会社の売上構造(製品種類別売価×数量)、コスト構造(原価内訳と売上高に対する比率、および、販管費内訳と売上高に対する比率)を分析することをお勧めします。そのうえで、売価・原価・販管費をそれぞれ1%改善した際の利益への影響をシミュレーションするなどし、その効果と難易度を勘案して費用対効果の高い部分に的を絞り、改善策を考えます。そして、KPI(粗利率、仕損率など改善策の成果を測定する数値)の目標値を設定し、改善策の成果を月次でモニタリングしていきます。
このように、会社の課題・目標に応じて会計数値を効果的に利用しながら改善策の策定と効果の測定を行っていくことで、感覚だけでない、より安定感のある経営判断を行うことが可能です。
適切な経営判断のためには、会計情報と現場の往復が必要と私は考えます。会計は現場の鏡です。現場に異変があれば必ず会計数値に異変が現れます。会計情報から現場の異変を察知し、現場を見に行き、原因を特定する。また、現場の異変を見つけたら、それがどの程度のインパクトがあるのか月次の会計数値を分析してすぐに確認する。そのために、先ずは会計の〝なんとなく〞の仕組みを理解するところから始められてはいかがでしょうか」。

CFO(経理部長)をパートタイム採用

『正確かつタイムリーな経理』と、『会計情報の経営への活用』の2つの体制を構築するには、経理周りの深い知識が不可欠。しかしながら、方法が分からないという会社も多い。そこで、BBSタイランドが提供するのがCFO代行サービスだ。
BBSの日本人会計士が月1度といった頻度で訪問し、CFO(経理部長)としての役割を担い、会計と経営判断をつなげるための社内体制の構築を助言・実行する。予算的に日本人経理担当を採用できない、駐在させられない会社においても、訪問頻度を抑えることでより少ないコストで経理部長をパートタイム採用できるイメージだ。
「多くの企業様では日本人経理がおらず、非常に苦労をなされていると思います。そういった企業様を支援することが私どもの使命だと思っています。我々BBSを日本から来た経理人員だと思って活用してください!」

 

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西川 和輝
(日本国公認会計士)
BBS (Thailand) Co., Ltd.
シニアコンサルタント
早稲田大学商学部在学中に公認会計士合格。卒業後、
あずさ監査法人に入所。上場、中小問わず幅広い規模・
業態の監査に従事、その経営を学び、現在に至る。

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株式会社ビジネスブレイン 太田昭和
設立: 1967年8月
売上高: 77億16百万円<単体>/169億73百万円<連結>(2014年3月)

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