バンコク不動産投資

元外資系投資銀行アセットマネジャーが分析する! バンコク不動産投資最新動向

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第7回 ダークホースはBTS「幸福駅」

今から40年以上前、北海道広尾線の田舎駅「幸福駅」が大ブームになった。同線の愛国駅から幸福駅までの区間、電車に乗る人はいないのに切符だけは1,000万枚も売れ、「愛の国から幸福へ」という歌まで流行ったほどだ。それが今は廃線廃駅となり、覚えている人も少ない。

59-41-01実はバンコクにも「幸福駅」がある。BTSスクムビット線のウドムスクだ。ウドムは「至上の」という意味で、スクは「幸福」だから厳密には「至福駅」だが「幸福駅」でもある。
さて、このウドムスク、廃駅になってしまった日本の「幸福駅」と違ってこれから化けるダークホース的な駅の一つだ。私はブログの中で、ウドムスクは住宅地としてはバンナーより有望だと何回か書いてきたし、自著の本でも有望投資エリアとして、バンナーでなくウドムスクを挙げている。しかし、最近は調査機関や業界紙が隣のバンナーにばかり注目するので、ウドムスクの何か重大な欠点を見落としているのかも、と少し自信を失くし ていた。

それが今回やっと、タイ語版DDプロパティで私と同じことを指摘するスペシャルレポートを見つけた。邦訳すると「ウドムスク、将来の可能性を秘めたロケーション」というキャプションで始まるが、その理由と論点の多くが私の考えと同じで嬉しくなった。もっとも、よく分析すれば誰でも同じ結論に至るのではないのかとも思うのだが…。
ではまず、その主たる理由についてまとめてみる。
①昔ながらの食料品市場やレストランが充実していて、そこには人々の生活基盤がある。すなわち、生活に便利な環境やインフラが既に整っている。一方、同じグリーンライン延伸線の新駅では駅周辺に何もなく不便なところが多い。
②BTSでCBDやダウンタウンに簡単に行ける。さらに、スクムビット通りだけでなく、主要幹線道路のバンナートラッドへも車で容易に乗り入れできるが、隣のバンナー駅ではこれが難しい。
③徒歩圏内にモールグループによる東南アジア最大級のSC「ザ・バンコクモール」がオープン予定。
④隣のバンナー駅は、国際展示場バイテック、これから開発されるグレードAオフィスビル群、スワンナプーム国際空港に直結する鉄道敷設計画などがあり、将来副都心になることが確実視されている。つまり、ウドムスクはCBDと副都心に挟まれた職住接近の理想的ベッドタウンになる。

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さて、この中で最も重要なのは優れた生活利便性だ。ベーリングを例に取れば分かるが、将来近代的な街ができるという謳い文句で、これまで駅から500メートルも離れたところで多くのコンドミニアムが販売されてきた。しかし、BTSが開通してもう5年にもなるのに、駅前は今も寂しい限りだ。生活のためのインフラがない不便な新興住宅地に5年も10年も我慢して住みたいタイ人ミドルクラスはあまりいないし、少数の地主が駅前のほとんどの土地を持っていて用地取得も困難なのだ。その結果、開発も遅々として進まない。
一方、現在住宅を探すタイ人の間で注目度ナンバー1の街はオンヌットだ。その理由は東京の門前仲町のような街だからだ。すなわち、交通の要所に位置し、都心に近い職住接近、しかも物価も安く、長い歴史に培われた生活至便な庶民の街なのだ。だから、同じような条件が整うウドムスクは、これから第2のオンヌットになる。

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藤澤 慎二
前職はドイツ銀行の国際不動産投資ファンド、RREEFのシニア・アセットマネジャーで米国公認会計士。現在はバンコクに在住し、自身のブログ「バンコクコンドミニアム物語」(http://condostory.blog.jp)で、バンコクの不動産マーケット情報を発信している。
連絡先:087-481-9709
bkk.condostory@gmail.com

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