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Book Review 社長が紹介する、オフィス134


オフィス134 代表 細谷 功

1964年神奈川県生まれ。東京大学工学部を卒業後、株式会社東芝を経て、アーンスト&ヤング、キャップジェミニ等の米仏日系コンサルティング会社にてコンサルティングに従事。
専門領域は、製品開発や営業等の戦略策定や業務/IT改革。併せて問題解決や思考力に関する講演やセミナーを企業や各種団体、大学等に対して実施している。著書に『地頭力を鍛える』『アナロジー思考』(以上東洋経済新報社)、『会社の老化は止められない』(亜紀書房)等。泰日工業大学(バンコク)にて2012年より非常勤講師を務める。
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オフィス134
www.isao-hosoya.com

『アリさんとキリギリス』細谷 功著 さくら舎 716B

持たない・非計画・従わない時代

異文化環境で仕事をすると、どうしても価値観の衝突は起こります。そんな時の解決策として、大きく以下の選択肢があると思います。①自分の価値観に相手を合わせさせる、②相手の価値観に自分が合わせる、③「第三の妥協案」を探る―の3つです。
人間はそれまで育ってきた環境を、「当たり前の常識」であると思い込んでしまいがちですから、「①の選択肢」を取ろうとしますが、相手が思い通りにならずにストレスがたまる状況になることが多いのではないかと思います。

本書のキーメッセージは、「世の中に『正しい/間違い』で判断できることはほとんどない」ということです。あるのはただ「違い」があるだけ。そう考えると、冒頭の状況でまず「なぜその違いが起こっているのか?」をお互いに共有した上で、③の解決策を探るのが、恐らくはお互いにとって公平な解決策となるのではないでしょうか。
本書でいう「ルールを気にせず楽天的で創造的な」キリギリスと、「決まりを重視して真面目でコツコツと努力する」アリの対立構図、どこかで聞いた話ではないでしょうか?イソップの童話では圧倒的に不利な状況に追い込まれたキリギリスですが、改めてその思考回路を探ることで、(イソップ以来の)数千年の「汚名」を返上し、「復権させよう」というのが本書の狙いでもあります。
「価値観の衝突とどう向き合うのか?」を考える上で、是非ご一読ください。

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