Book Review 社長が紹介する、一冊　TG BANGKOK Co., Ltd. 原 浩平

『宇宙飛行士選抜試験』大鐘良一、小原健右著　光文社新書　330B

最難関試験で試される資質、人間力とは

2008年、10年ぶりに実施された、JAXA（宇宙航空研究開発機構）の日本人宇宙飛行士選抜試験。応募者総数は過去最多の963人。その中から最終試験に残ったパイロット、技術者、医師など10人の候補者から２名が選ばれるまでの一部始終を、NHKが史上初めて密着取材した。
ドキュメンタリー番組で放映されなかった裏側までを書籍化した本書では、約１年間をか
けて実施された試験と面接で、どのように宇宙飛行士は選ばれたのか。また候補者が何を考え、語り、行動したのかを追っている。中でも２週間におよび、10人が閉鎖環境、24時間監視下で課題を処理していく最終試験では、審査員が細かに候補者それぞれの資質の見極めを行う。
「 宇宙飛行士の試験では、リーダーとフォロワーどちらの立場でも、性格ではなく役割としてミッションをこなせるかどうかが問われるそうです。チームを組む相手はライバルなわけですが、宇宙空間という細かなミスが命取りになりかねない状況では、適材適所ではなく順応力が求められます」と話す原社長。リーダーは戦略的に引っ張っていく立場だと思っていたが、チームの状態によって、士気を上げ、また支える役割を果たす立場でもあるのだと思わされたという。
「ミッションに対して、チームの一人一人がそれぞれの役割をどう果たし、どう目的を達成するかは、会社や社会、家庭においても当てはまります。フォローされることも、フォローすることもあるのがチーム。自分自身もマルチに動けるように在りたいと思っています」。