Book Review

ドイツに学ぶ、タイの組織マネジメント

ドイツに学ぶ、タイの組織マネジメント

Multibook (Thailand) Co., Ltd.
久保田 明

2000年に青山学院大学経済学部を卒業後、現CBC株式会社に入社。04年、株式会社TD&Company(株式会社マルチブックに入社)し、09年にオランダへ赴任。4年間の赴任を経て、12年よりドイツへ赴任。17年7月にタイ赴任となり、Managing Directorに就任、現在に至る。
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www.multibook.co.jp

『仕事の「生産性」はドイツ人に学べ 「効率」が上がる、「休日」が増える』

労働時間は日本よりも年350時間少なく、生産性は日本の1.5倍と言われるドイツ。現地で20年にわたる勤務経験を持つ著者が、ドイツ人の仕事観や人生観について著したのが本書だ。久保田社長も、タイに赴任するまではデュッセルドルフに駐在していた。
「タイに赴任してすぐの頃、書店でこの本を見つけて、自分が働いてきた環境を振り返ってみようと手に取りました。『タイは日系より欧米系のマネジメントが合う』と聞いたことがあったので、参考になればと思ったのも理由です」。

ドイツの組織は各自が持つ権限や職務範囲が明確なこともあり、報・連・相や会議は必要に応じた分だけ行われる。また、週35時間に定められた労働時間に則ると、自然と仕事に優先順位がつくという。

「ドイツは職場にも街にも、スピードや効率につながる仕組みがありました。ただ、本人の優先順位がこちらの求めるものと一致しているかというと、必ずしもそうではない。待っていれば必要な報告が届くとは限らないので、裏をかくことも必要でしたね」。
ドイツ人の仕事に対するスタンスは、プライベートを大事にする、彼らのライフスタイルからきているものが大きいと話す久保田社長。

休む時はしっかり休むところもタイと通じる点に見えるが、むしろ日本人の仕事観のほうがユニークなのかもしれない。生産性向上や働き方だけでなく、国によって異なる法制や国民性と向き合い、それに適したマネジメントについて考えるヒントが詰まった一冊だ。

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