人材 2017.07月号

もう悩まない!人材採用&育成のコツを解説 Vol. 13 タイ人事相談室|en world

『獲得した優秀人材を定着させ、活躍させられる組織づくりのポイント』の2つ目、役割と人材について、経営戦略コンサルティングCDIの経営コンサルタントとして、日系企業のアジア展開を支援されている小川達大さんにお話を伺いました。


小川達大 tatsuhiro ogawa
Corporate Directions, Inc. (CDI)
Asia Business Unit
日本国内での日本企業に対するコンサルタンント経験を経て、東南アジアへ活動の拠点を移す。以降、企業の国籍にかかわらず、アジア全体をホームグラウンドとする「アジア企業」への進化を目指す企業の戦略立案・実行支援、M&A支援、マネジメントシステム構築支援などを手掛けている。

「役割と人材」を考える (前編)

下川 アジアの日系企業は、人材や組織についてどのような課題を抱えているのでしょうか。

小川 大きな方向性としてあるのは、「いかに現地社員に活躍してもらえるか」という点だと思います。ASEANビジネスでは、世界のどこでも通用するような経営管理と、現地に寄り沿ったオペレーションのバランスが重要ですから。ところが現実を見ると、日本人駐在員の上司に現地社員が就くというオプションが排除されているために、人材と企業の双方にとって、不幸せな状況が生まれているケースも多くあります。その傾向は、シンガポールなどの地域統括拠点よりも現地拠点(Local Office)で顕著であるように思います。

下川 この数年、日本本社の「現地化を進めたい」という方針から、タイの現地拠点でも権限委譲できる優秀な現地人材の採用を希望される企業が増えてきました。ただ、せっかく条件に合う優秀な人材が見つかっても、彼らが100%パフォーマンスを発揮できる体制が企業側に整っておらず、残念ながら離職されてしまうケースもあります。優秀な人材に活躍してもらえる組織づくりが、現地化を実現する要素のひとつであることは間違いなさそうですね。

小川 そもそも、会社が機能設計した時に定義される「役割」に合う社員を見つけるのが人材採用なので、コストをかけて採用したらからといって、当初想定していた「役割」を越えて、あれもこれもと業務を押し付けてしまうと人材は長続きしません。

下川 どのポジションでどう貢献してもらいたいのか、何を実現したいのかの具体的なプランが、人材を採用するうえでは非常に大切です。

小川 人材採用時のシチュエーションには、大きく分けて2つ、既存のポジションに採用する場合と、新規機能に必要なポジションを採用する場合があると思います。少々強引な線引きですが、日本企業が「人」を主体に仕事をする感覚であるのに対し、非日系企業は「機能と業務」を主体に仕事をしています。日本人が就いていた既存のポジションに後任としてタイ人を採用する場合、何を引き継いでもらうのかというジョブディスクリプション(職務記述書)を明確化しないと、ミスマッチが起きてしまいます。

下川 優秀な人材の採用にあたっては、既存社員との兼ね合いなどの課題を解決する必要もあり、現地人材が活躍できる組織づくりを始める前に、まず私たち日本人のマインドセットを整え、組織上の問題解決や改善をするための採用を行う準備を行わなければいけませんね。


下川ゆう yu shimokawa
en world Recruitment (Thailand) Co., Ltd.
日系チーム チーム・マネージャー
立教大学卒業。大手人材紹介会社の東京本社で経験後、2009年に来タイ。以来、在タイ日系企業への人材紹介に従事。顧客企業の組織発展のための採用支援を得意とし尽力している。

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