人材 2017.03月号

もう悩まない!人材採用&育成のコツを解説 Vol. 11 タイ人事相談室|en world

『獲得した優秀人材を定着させ、活躍させられる組織づくりのポイント』の1つ目、評価と報酬について、マーサー・タイランドで組織人事コンサルタントとしてご活躍の仲島基樹さんにご意見を伺っていきます。


仲島基樹 motoki nakashima
Mercer (Thailand) Limited.
Principal, Talent Consulting,
Japanese Business Advisory
日系・米系保険会社、日系IT大手を経てマーサーに入社。プロジェクトディレクターとして国内外の企業に対するコンサルティングプロジェクトをリード。組織・人材戦略の立案から、人事管理実務まで幅広い分野において支援を行う。現在はタイ・バンコクオフィスを拠点とし、ASEAN各国の在外日系企業に対する支援を行っている。慶應義塾 大学経済学部卒。

「評価と報酬」を考える(前編)

下川 企業努力があっても、優秀人材とミスマッチが起きてしまう場合があります。

仲島 企業が組織変革を行う場合は〝救世主〞的なパワーのあるリーダーや専門人材の獲得に意識が行きがちですが、部門間の連携やチームワークを重視される会社などでは、内部で影響力を持つ既存の人材を登用したほうが効果的なケースもあります。優秀な人材を採用することが、既存社員にとってただの脅威となってしまってはうまく行きませんから、双方のバランスが取れるよう、社風に合った人材採用が重要でしょう。

下川 たしかに、タイは専門的なキャリアを持つ人材がまだ十分ではありません。採用は投資的な側面も大きく、優秀でも入社直後に理想的なパフォーマンスが出せるとは限らないので、既存社員の働きも公平に評価され、皆が納得できる環境づくりが大切なのですね。

仲島 公平な評価の実現には、まずは個々人の役割をはっきりさせることです。日本の会社は「今いる人で仕事を割り振る」という感覚が強く、明確なジョブディスクリプション(職務記述書)を提示する欧米企業に比べると、役割の設定や評価は不得意なほうなので、もう少し改善すべき点です。一方で事業は常に変化していくものですから、人が辞めたからと言って、カバーできる人が誰もいないというのは問題です。そう考えると、ジョブディスクリプションを用意することだけが必ずしも答えではないと思います。
基軸となる職務があって、プラスで「これを任せます」と言われるのと、「これをやっておいて」と言われるのでは、受ける人の気持ちが違いますよね。部下がプラスの仕事をやってくれたら、上司としてお礼を伝える、評価する。組織で重要なのは、メッセージを伝えるコミュニケーションです。日本人はあまり褒めることに慣れていないうえに、タイ人との間には言語や文化といったコンテクストの違いもあるため、相手が日本人の場合よりもさらに声が届く距離は短いと心得ておくと良いでしょう。

下川 日本人とタイ人は似ているところも多いですが、やはり違いはありますね。タイ人とのコミュニケーションのスタイルを理解し、日本人に対するものと意図的に変えている日本人管理者の方は、人材管理もお上手な気がします。

仲島 そうですね。タイ人に 対して役割を設定する場合も、日本人に対する役割設定に比べてより分かりやすく、具体的に行う必要がある、ということになります。会社が人材に求める期待役割を伝えるためのツールが人事制度です。タイ人にとって分かりやすい人事制度を整えておくことが、納得感を得るための初めの一歩ではないでしょうか?
(ArayZ5月号に続く)


下川ゆう yu shimokawa
en world Recruitment (Thailand) Co., Ltd.
日系チーム チーム・マネージャー
立教大学卒業。大手人材紹介会社の東京本社で経験後、2009年に来タイ。以来、在タイ日系企業への人材紹介に従事。顧客企業の組織発展のための採用支援を得意とし尽力している。

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