もう悩まない!人材採用&育成のコツを解説 Vol.8 |en world

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タイで日系企業への人材紹介に携わり7年の経験を持つ下川ゆう氏が、人材採用や育成にお悩みの読者様へコツを解説する本コラム。『優秀人材を探す方法と採用のポイント』の最後は企業側の提示について。
優秀なタイ人材は、どのような企業に魅力を感じるのでしょうか―。

“求める優秀人材〞を採用するために必要な4つの事項

①採用方法の使い分けとパートナーの選び方

②社内採用担当者の決定とターゲット人材の明確化

③組織図とジョブディスクリプションの準備

④優秀人材を口説くためのアピールと魅力付け

タイの優秀人材にとって魅力的な条件提示とは

今回は、前回お話した組織図とジョブディスクリプションを活用した、④優秀人材を口説くためのアピールと魅力付けについてお話します。
ポイントとなるのは主に2点、「魅力的な条件提示」と「魅力的な条件を提示する代わりに、企業が共に達成したい目標や方向性の説明とその先のキャリアパスの提示」です。
まず前者ですが、タイ人の求職者は日本人と違い、どんなに魅力的な仕事内容であっても、現職/前職から給与額を下げてまで転職することはありません。しかし、タイで長年かけて組織を作り上げてきた企業の場合、既存社員との給与バランスが合わない理由から、優秀人材が希望する通りの給与をオファーすることが難しいのも実情です。たとえ同業界で経験があり、即戦力として期待される優秀人材でも、入社後すぐに結果を出してくれるとは限りません(この意味で採用は投資といえます)。加えて、タイは給与の情報が社員同士の噂で広まりやすく、既存社員への影響も考えなくてはならないのです。

改革と拡大を求めるならば

このようなハードルを乗り越え、企業の改革、拡大のために優秀人材を採用するには、①経営層直下の将来の幹部候補などの新しいポジションを作るか、プロジェクトチームを新たに作る、②明確な目標とパフォーマンスに応じた昇給やコミッションのテーブルを提案する方法が考えられます。
給与バランスの面で既存社員に理由付けするには、新しいポジションを作り、経営層の直下に配置することで特別感を出すことが求められます。ただし、新しいポジションやプロジェクトチームを作るには、目的とジョブディスクリプションの明確化を経営層が行う必要があります。
採用時から希望給与の提示が難しい場合は、達成してほしい目標と平行してパフォーマンスに応じたコミッションやボーナス、昇給について事前に提示し、評価基準も定めた給与テーブルを提案、同意を得た上でオファーを出し交渉する方法もひとつです。その際、数ヵ月単位の短期的な目標だけでなく、長期的な目標も提示すると良いでしょう。タイ人優秀人材は常にチャレンジを探していますから、自分のがんばり次第で収入もポジションも上がる仕事に魅力を感じる方は多いです。会社で成果を挙げることによって、会社と共に成長できる機会を提供できる企業はそう多くありません。優秀人材にとっても転職の大きな動機付けになるはずです。
次回はもう1点のポイント、「魅力的な条件を提示する代わりに、企業が共に達成したい目標や方向性の説明とその先のキャリアパスの提示」についてお話します。
(次回は11月号に掲載されます)

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下川 ゆう yu shimokawa
en world Recruitment (Thailand) Co., Ltd.
日系チーム チーム・マネージャー
立教大学卒業。大手人材紹介会社の東京本社で経験後、2009年に来タイ。以来、在タイ日系企業への人材紹介に従事。顧客企業の組織発展のための採用支援を得意とし尽力している。

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