人材 2017.09月号

もう悩まない!人材採用&育成のコツを解説 Vol. 14 タイ人事相談室|en world

『獲得した優秀人材を定着させ、活躍させられる組織づくりのポイント』の2つ目、役割と人材について、経営戦略コンサルティングCDIの経営コンサルタントとして、日系企業のアジア展開を支援されている小川達大さんにお話を伺いました。


小川達大 tatsuhiro ogawa
Corporate Directions, Inc. (CDI)
Asia Business Unit
日本国内での日本企業に対するコンサルタンント経験を経て、東南アジアへ活動の拠点を移す。以降、企業の国籍にかかわらず、アジア全体をホームグラウンドとする「アジア企業」への進化を目指す企業の戦略立案・実行支援、M&A支援、マネジメントシステム構築支援などを手掛けている。

「役割と人材」を考える (後編)

小川 日本人のマインドセットについて、もう少し考えたいと思います。日系企業の駐在員はジョブディスクリプション(職務記述書)が薄く、法人設立や達成すべき数字といったミッションや実務は山ほどあるのに、「現地にその駐在員がいること」と「現地にいるその駐在員の役割が何なのか」という、人の管理と機能の管理の区分が曖昧になってしまっているケースが殆どです。「できる人材がいないから」という理由で新規のプロジェクトを断念されたご経験をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。それほど人事には経営上の意思決定を左右するインパクトがあり、もっと戦略的に行われるべきなのですが、日本では経営戦略を立てる部署と人事関連部署間の連携が不足している気がします。

下川 確かに、バックオフィス業務に徹する部署という印象を持たれがちな人事部ですが、これまで以上に経営的な視点を持ち、戦略的に人材の採用と活用を行うべきということですね。

小川 誤解を恐れずに言いますと、アジアで日系企業を選んだ優秀な現地人材は、ほかの外資系企業より給与が低くてもやりがいとチャレンジを求めて入社していますから、彼らにそれらを与え続けられるかどうかが定着率にも関わってきます。タイ人は日本人よりもキャリアを見直すスパンが短い傾向にあり、「5年間の下積みの後にやりがいのある仕事が待っている」という日本的な考え方はタイ人には通用しません。しかし現実には、下積みや雑用はどうしたって出てくるものです。その時に、なぜそういった業務もこなさなければならないのか、理由を伝えるコミュニケーションが日本人には不足しがちです。
「同質性を高めながら組織で頑張る」のが日本なら、「異質を活かしながら頑張る」のが海外です。日本人は労働契約書を結んだ時点で、組織に対する忠誠の誓いかのような感覚を持ちますが、海外ではGive & Takeの関係性が基本ですから、感覚の軌道修正が必要になります。

下川 タイ人は仕事を選ぶ際、人間関係、会社の仕組み、仕事内容を重要視します。働きやすい組織かどうかも定着率に影響するため、意識的にコミュニケーションを取ることと、感覚の違いを受け入れることはポイントになりそうですね。

小川 現地化がキーワードのようになっていますが、本社のパワーを最大限に活かしたほうが成功する海外事業もあります。本当に現地化する必要があるのか、自社ビジネスの常時見直しを行うのも重要な作業です。ファンクションごとに、現地社員が必要なのか、それとも本社が舵を取るべきなのかを把握することが、人材が活躍できる組織づくりにもつながるように思います。


下川ゆう yu shimokawa
en world Recruitment (Thailand) Co., Ltd.
日系チーム チーム・マネージャー
立教大学卒業。大手人材紹介会社の東京本社で経験後、2009年に来タイ。以来、在タイ日系企業への人材紹介に従事。顧客企業の組織発展のための採用支援を得意とし尽力している。

 

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