ビジネス・経済 2018.04月号

アジアでの「CFO経営」 月次決算の安定化

日本とアジアで20年、1300社の経営に
寄り添ってきたエスネットワークスが解説する、
在アジア日系企業の経営管理術。

業務を可視化してPDCAをまわす

まず、アジアでのPMI(Post Merger Integration)の経験をもとに、今後数回にわたって海外子会社の管理実務について記していきたいと思います。

海外子会社管理においては、経営陣が経営実態を把握し、適時適切な経営判断を下す必要があります。海外子会社の管理体制が脆弱な場合(月次決算の遅延、数値の不明瞭等)、経営陣が誤った経営判断を下せば、最終的に会社全体の業績悪化、海外子会社の撤退というシナリオをたどる可能性もあります。今回は、この経営判断の根幹であり出発点でもある「月次決算」についてです。

月次決算で最初に行うべきことは、月次決算のフローと標準スケジュールを策定し、業務を可視化することです。最終ゴールは経営陣への報告ですので、取締役会から逆算してスケジューリングします。タスク、担当者、期日を明確にし、管理責任者がスケジュール通りに進行しているか日々管理を行っていきます。また月次決算終了後は、どの工程が想定よりも遅れたのか、その原因、解決を毎月の改善会議で振り返り、PDCAをまわしてくことが重要です。

スケジューリングのコツとは?

スケジュールを作成する上で重要なのは、「全社視点」で作成するという点です。月次決算は経理部だけで完結できるものではなく、各部門から仕訳の根拠となる情報や証憑(請求書等)を入手しなければなりません。

しかしながら、実際には現場から情報や証憑が出てこず、いつまでたっても月次が締まらない場合が多く見受けられます。各部門から取引先に対し、設定した営業日に必要な情報や証憑をもらえるように依頼をすることが対応策となるはずなのですが、アジアでは依頼しても期日までにそれらが入手できないケースが多々あります。この場合、各部門から見積書や発注書を経理部に提出して概算計上を行いますので、いつまでに概算額を経理部に連絡するのかルール化して、全社で運用することが必要です。

全社視点でのスケジュール及び運用フローを策定することで、適時適切に取締役会で月次決算を報告することが可能となります。これらの基本的な枠組みは、業種、会社規模を問わず普遍ですので、読者の企業様にとってご参考になれば幸いです。

 

奥村 宙己
Hiroki Okumura
立命館アジア太平洋大学卒業。2014年、(株)エスネットワークスに新卒として入社。スポット支援として事業計画作成、事業デューデリジェンス、財務デューデリジェンス、M&Aアドバイザリーを担当。常駐支援として管理体制構築支援、月次決算体制構築支援、再生企業の事業計画実行支援、クロスボーダーPMIを担当。タイ国において進出サポート及び会計・税務コンサルティングに従事。

 

バックナンバー Back Number

バックナンバー Back Number

gototop