タイ取締役協会と野村総合研究所タイが「タイ+1」セミナー メコンの発展・課題に向き合う戦略を

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タイ取締役協会(Thai Institute of Directors、以下IOD)は2月18日、野村総合研究所タイと共催で「タイ+1:日系企業のメコン地域戦略」をテーマに セミナーを開催。IODに加盟するタイのローカル企業経営者を中心に約70名が参加し、各専門家による日系企業のタイ+1戦略事例紹介に加え、日本経済新聞社アジア編集総局長の井口哲也氏をモデレータに、デンソー・インターナショナル・アジア社(以下、DIAS)から末松正夫らを迎えたパネルディスカッションも行われた。

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DIASの末松正夫 COO & Executive Vice President

冒頭の挨拶では、IODの代表を務めるバンディット・ニジャタウォン氏が「日本の戦略やビジネスモデルが、タイでのビジネス・ソリューションになるだろう」と、今セミナーへの期待を述べ、在タイ日本国大使館の内川昭彦・経済部公使は「タイがASEAN経済のハブを目指すために重要な課題である、インフラや産業の高度化を日本の技術や経験をもって援助することで、両国にとってWin×Winな経済関係を築きたい」と、参加者にメッセージを送った。

CLMVと共に発展していく

講演ではまず、チュラロンコン大学サシン経営管理大学院サシン日本センターの藤岡資正所長が登壇。タイが面している課題として、「中進国の罠」「高齢化社会」「都市化」という3つのキーワードを挙げ、 「これらはタイ一国のみで解決できる課題ではない。そこで重要になるのが、日本とCLMV(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)との関係性。タイ+1で大事なのは、日系企業だけ、タイ経済だけの利益を目指すのではなく、メコンエリア全体が共に成長していける新たなビジネスモデルを探ること」と話し、参加者にタイ+1戦略の活用を促した。
また、野村総合研究所タイの山本肇氏は、実際に日系企業がタイ+1進出した事例を紹介。労働集約型の工程をCLMVで行い、タイでの生産を補完する戦略を行う矢崎総業(カンボジア進出)やニコン(ラオス進出)や、コールドチェーン物流を活用して、タイからカンボジアとベトナムへ小売業で進出したイオンなどを例に挙げた。
野村総研の近野泰グローバル製造業コンサルティング部長は、製造業に革新を起こしているドイツのIndustrie 4.0について解説した上で、日本企業のIoTによるものづくりやインフラ事業を紹介。ASEANで最もICTが発達しているタイは、日系企業と共にIoTを活用した産業の高度化を進めるタイ+1戦略について説いた。

event reportIODのバンディット・ニジャタウォンPresident & CEO氏(右から3人目)

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