タイ国政府人事委員会とチュラロンコン大学サシン経営管理大学院が共同開催

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タイの公務員制度や人事管理政策に関して助言と勧告を内閣に行う首相府の外局、タイ国政府人事委員会(OCSC)は8月16日~25日、首都バンコクと北部チェンライで中堅官僚向けのリーダーシップ開発プログラム「New Wave Leadership Development Program」を実施。ASEAN諸国で将来の行政管理の中枢を担う指導者の育成が目的で、ASEAN諸国から選抜された将来の各国政府機関の管理職候補が参加した。

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国家経済社会開発庁(NESDB)のタニン副事務局長(中央)、サシンのクア副学長(中央右)、シリユッパ准教授(中央左)、ピヤチャート助教授(右)、OCSCのラピーポーン人事スペシャリスト(左)

昨年に続き本年度も、チュラロンコン大学サシン経営管理大学院(Sasin GIBA)がリーダーシップ開発に関するアドバイザーとして同プログラムの企画から運用までを担当し、ワークショップ(9日間のプログラム)のテーマを「医療と観光の世界的なハブとしてのASEAN」に設定した。同大学院のシリユッパ准教授は、「ASEANは豊かな観光資源を背景に、観光を強みとする国が多く、過去20年以上に渡り、各国の主要な外貨収入源となってきた。タイではバムルンラード国際病院やバンコク・ドゥシット・メディカル・サービスがほかのアジア諸国に事業を拡大して、高水準の医療サービスを提供する機関としてここ数年高い評価を受けており、ASEAN域内でこうした取り組みを共有し、協働することで、競争力を高める取り組みを進めている」と説明する。

また、次世代リーダーとしての倫理感や社会的責任を理解させるため、チェンライ県の王室先導的プロジェクト「ドイトゥン持続的な発展プロジェクト」にてフィールドスタディーが組み入れられている。講師は同大学院の教員に加え、国家経済社会開発庁(NESDB)のタニン副事務局長、タイ政府観光局(TAT)のユタサック局長もセッションを担当し、日本とASEANの戦略的互恵関係の重要性と課題については、藤岡資正・日本センター所長が招聘された。参加者は制限時間を超えて活発なディスカッションを行った。
また、政府高官として、ASEANが一体となって医療と観光の世界的なハブとなるための政策や取り組みに関して議論を交わし、官民一体となった取り組みの必要性を認識。改善が期待される点として、若手官僚からは、各国官僚レベルでの意思疎通の円滑化、より積極的に他者の意見に耳を傾ける態度、戦略的な思考、不公正な慣習や汚職の排除などが挙げられた。

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