日刊工業新聞

しのはらプレスサービス―世界同一で高品質

プレス機械の点検・修理/
蓄積データ・人材生かし事業拡大

しのはらプレスサービス(千葉県船橋市、篠原正幸社長)は「日の丸ソリューション」として、グローバルに同一品質のプレス機械の点検・修理サービスを提供する。40年以上にわたって蓄積してきたプレス機械のデータと、社内で育て上げてきた人材によって、これを可能にしている。

しのはらプレスサービスは米国にシノハラ・マツカ・プレス・メンテナンス・アンド・エンジニアリング(オハイオ州)を2011年に設立した。社長は大手商社で海外発電プロジェクトに携わるなど海外経験が豊富な篠原清人常務が兼務する。

現地の取引先から、出張対応ではなく常駐して対応して欲しいとの要望があり、付加価値の高いサービスを提供するため、現地に拠点を設けた。
米国法人に専任フィールドエンジニアと営業担当を配置しており、ターゲットは日系自動車メーカーと車部品メーカーだ。米国法人の16年12月期の売上高は約2億円で増加傾向にある。篠原常務は「手応えがある」と説明する。しのはらプレスサービスの17年5月期の売上高は27億5,000万円だ。

現在「国内で取引がある企業の現地法人を回り切れていない。手が回らない状態」(篠原常務)で、現地企業と手を組み、事業展開することも検討している。
好調な米国を中心に、欧州や豪州、アフリカ、アジア、中南米でも実績がある。その海外事業を支えるのは人材だ。しのはらプレスサービスは基本的に新卒を採用して育成している。新卒採用向けパンフレットのタイトルは「世界へ踏み出す勇気はあるか!」。海外志向が強い新卒の採用に力を入れる。

海外営業部に配属された入社1年目の前島可菜さんも「海外と関わる仕事がしたかった」と入社した。最低7年間は実務経験を積み、その後、米国法人勤務や海外出張に出る。
理系だけではなく、「世界」を接点として文系の優秀な新卒も採用し「新しい事業は新しい人間に任せ、10年先を考えて人材を育てている」(篠原社長)。さらに中国人やネパール人を正社員として採用し「国際感覚を養い、(グローバル化が進む中)変化に対応できる企業にする」(同)。

一方、同社は国内で年間1万6,000台、米国で同400台のプレス機械のメンテナンスを手がける。16年12月末時点で、国内外合計で560社、4,700機種のデータをデータベース(DB)化している。これらのデータを大切に築き上げてきた人材がいるからこそ、世界同一品質で高度なサービスが提供できるわけだ。

海外で実績を積み上げてきた同社だが「日本が一番重要な拠点」(同)であることに変わりはない。国内でビジネスモデルをつくり上げ、それを海外に展開する。
今後はパートナー企業がある東南アジアに拠点の設置を検討するなど、海外事業を加速する計画だ。

※記事提供・日刊工業新聞(中沖泰雄 2018/1/10)

海外でも日本と同じ品質のサービスを提供

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