「タイ+1」人材マネジメントのすすめ 外国人ワーカー&マネージャー人材の『雇用条件』

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GMS(大メコン経済圏)全体で労働賃金が上昇を続けている。
2015年のAEC発足に向けた人材開発という視点から、HUMAN ASIA RECRUITMENTの糸永里美氏がタイにおけるミャンマー、カンボジア、ラオス人材の実情を伝える労働人事コラム。

前回は、外国人ワーカー人材の雇用時に想定されるトラブルとその解決方法について、いくつか事例をご紹介しました。今回は、マネージャークラス人材とワーカー人材雇用時に適用される、賃金などの条件とポイントについてお話します。

マネージャークラス人材の雇用ポイント

ご存知の通り、就労ビザ(ノン・イミグラントB)と、労働省が発行するワークパーミットを取得しタイで就業する外国人には、タイ人と同様の労働法が適用されるのが通常となっていますが、最低月収については国籍別に異なる額が定められています。
例えば隣国のミャンマー人、カンボジア人、ラオス人については2万5000バーツ〜となっており、タイ人を雇用する場合と比べ極端に低いという訳ではありません。
この就労ビザで働くミャンマー人、カンボジア人、ラオス人の中には、母国へ戻っても思うような仕事に就けない理由から、留学先のタイでそのまま就職する例がある一方で、英語力の高さやポテンシャルを買われて将来の幹部候補として採用される人材もいます。在タイ企業側としても、将来の近隣国への現地法人設立などの事業拡大に備えて、幹部クラスとして配置するためという戦略的視点で採用を希望する企業が増えてきているようです。
この際に気をつけたいのが採用ポジションの配置です。たとえ優秀な人材であっても、自分たちの上のポジションにいきなり配置されることに納得のいかないタイ人がほとんどのため、例えば〝役割の異なるプロジェクトのリーダー〞として位置付けて「上下で交わらない関係」であることを予め示しておくことで、その後のスムーズな相互理解に繋がります。

ワーカー人材の雇用ポイント

不足する労働力需要を補うため、ミャンマー、カンボジア、ラオス3ヵ国から出稼ぎに来る外国人ワーカーに対し、タイでは国家間の覚書などに基づき2年間の就労を認めるワーカー専用ビザと、ワークパーミットの発行が認められています。このビザとワークパーミットの発行対象はいわゆる単純労働に従事するワーカークラスに限られており、前述のようなマネージャークラス人材とは異なります。
この外国人ワーカーに適用される最低賃金は日給300バーツで、タイ人のそれと同じです。一般的には、月給よりも日給ベースでの契約が多く、働いた日数に応じて2週間に一度、もしくは月末に給与を支払うというケースが多いようです。
決められた範囲の単純作業を確実にこなしてくれる現場戦力として期待される外国人ワーカーですが、中には学習意欲が高く、タイ語も覚えて現場でより高いスキルを磨くことで、周囲に認められリーダーに抜擢されるワーカーもいます。中長期雇用を前提に人材を育てるスタンスを好む日系企業にとっては、こういったポテンシャル人材を軸にすることで、外国人ワーカーチームをより上手く機能させることができると思います。

 

糸永里美 Satomi Itonaga
HUMAN ASIA RECRUITMENT CO., LTD. マネージャー
マレーシアに本社を置く同社タイ法人で、外国人ワーカー派遣・人材紹介を専門に担当。
タイ在住13年。日々、タイ国内の企業や工場を数多く訪問している。

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