ビジネス・経済 2017.07月号

時事通信 特派員リポート Vol.19 【中国】躍進続く中国の騰訊=ゲームが好調、電子決済も急成長(香港支局 小川耕一)

中国インターネットサービス大手の騰訊(テンセント、広東省深セン市)が躍進を続けている。主力のオンラインゲームに加え、9億人を超えるネット交流サイト(SNS)利用者らを対象としたオンライン広告、さらに電子決済サービスの急成長に支えられ、今年第1四半期(1~3月)の売上高は前年同期比55%増の496億元(約8060億円)、純利益は58%増の145億元(約2360億円)と大幅な増収増益となった。

香港上場の株価は年初来で40%上昇。時価総額は2兆5400億香港ドル(約36兆円)と中国企業で最大、世界でも十指に入る。頭文字を取って「BAT」と呼ばれる国内ライバルの電子商取引最大手・阿里巴巴(アリババ)集団、ネット検索最大手・百度(バイドゥ)に差をつけつつある。

スマホゲーム収入、1日23億円


騰訊の会長兼最高経営責任者(CEO)の馬化騰氏=2016年9月、香港(AFP=時事)

売上高の半分弱を占めるのがオンラインゲーム。毎日5000万人以上がプレーする対戦ゲーム「王者栄耀」のほか、「竜之谷」などのヒットもあり、スマホ向けゲームは57%の増収を記録。1日当たり1億4000万元(約23億円)を稼ぎ出した計算になる。これにパソコン向けゲーム(24%増)を合わせたゲーム部門全体の売上高は34%増の228億元に達した。
ゲーム業界調査会社ニューズーがまとめた昨年のゲーム収入番付では、騰訊は102億米ドル(約1兆1300億円)で世界トップだった。地位固めにも余念がなく、昨年は「クラッシュ・オブ・クラン」などのヒット作を持つフィンランドのゲーム開発会社スーパーセルをソフトバンクグループから買収。今年4月には「ウィーゲーム」というゲーム用プラットフォームを立ち上げ、2億人超のユーザーを抱える世界最大手のプラットフォーム「スチーム」に挑む。
ゲーム以外のネットサービスである音楽・動画配信などの売上高は56%増の123億元。騰訊はゲームや配信などをまとめて「付加価値サービス」事業としており、これが収入全体の7割を占める。
決済サービスでアリババ猛追 一方、SNSを活用したビジネスにも強さを見せる。同社のスマホ向け無料通信アプリ「微信」と海外版の「ウィーチャット」を合わせた月間アクティブユーザー数(MAU)は3月末時点で9億3780万人。自社サイトでの広告に加え、微信の交流機能「朋友圏(モーメンツ)」や公式アカウントに照準を合わせた広告も大きく伸びており、オンライン広告は47%増の69億元を売り上げた。
中国で成長著しい電子決済サービスでも攻勢を強める。同社の決済サービス「微信支付(ウィーチャットペイ)」の昨年末時点のMAUは6億人を突破。香港紙・香港経済日報によれば、ウィーチャットペイの中国市場シェアは2015年の21%から今年第1四半期には40%に急拡大。業界トップのアリババの「支付宝(アリペイ)」を猛追する。
騰訊は事業別の利益を公表しておらず、決済サービスがどの程度業績に貢献しているのかは不明だが、香港紙・明報はアナリストの話として、「ウィーチャットペイは利益率こそ高くないものの、ビッグデータの収集につながる。多額の広告費を投じる必要もない」と指摘。決済サービスを社会インフラのレベルにまで高めるとともに、他の事業との相乗効果を発揮できるかどうかが今後の鍵になるとの見方を伝えている。

※この記事は時事通信社の提供によるものです。
(2017年6月2日記事)

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