ビジネス・経済 2018.04月号

【タイ】業務刷新急ぐタイ大手銀=店舗・人員削減、IT企業と業務提携も(バンコク支局 近藤 泉)

タイの大手銀行が、デジタル化の推進などの業務刷新を急ピッチで進めている。オンラインバンキングの拡大と現金決済の減少を見据え、思い切った店舗や人員削減を計画。一方で、金融とITが融合したフィンテックなどを活用した新サービスを提供するため、業態の垣根を越えIT大手との業務提携を模索する動きも出てきた。

支店数3分の1に

サイアム・コマーシャル銀行(SCB)のアーティット頭取兼最高経営責任者(CEO)は1月、今後3年間で従業員数を現在の2万7000人から1万5000人に削減すると発表した。支店数も1153店から400店へと約3分の1に減らす。人手を介して行っていた窓口業務などをデジタル技術で代替し、コスト削減を加速させるのが狙いだ。

現在のSCBの大まかな収益構造は手数料収入3割、利息収入7割。同頭取によると、今後は人手に頼った手数料収入が徐々に減少することが予想されるため、営業収益に対する人件費など固定費の割合をこれまでの40%から20年までに30%へ引き下げる方針という。

業務効率を求める民間銀行に合わせ、タイ中央銀行は支店を設けなくても基本的な銀行サービスを提供できる「銀行代理店業務」免許に関する規定を策定した。銀行が代理店を指名し、預金、送金、引き出し、支払いなど、融資を除く業務を代行させる構想だ。代理店としてはタイ郵便の郵便局やコンビニエンスストア、小規模販売店などが想定されている。

コンビニを代理店に

地元紙の報道によると、バンコク銀行はコンビニチェーンや電話通信会社などの中から代理店を選定中。同行は、モバイル・バンキングを通じた取引が全体の40%、現金自動預払機(ATM)が50%に上り、伝統的な店舗での取引は10%程度に低下するとみており、代理店を活用して既存支店の再配置、統合、閉鎖を検討している。

一方、大手5行の一角を占めるアユタヤ銀行は、フィンテックの関連分野に投資するベンチャーキャピタル子会社を設立し、オンライン決済サービス企業などへの投資を進めている。18~20年の経営計画期間中はさらに業務のデジタル化を加速するため、年平均約80億バーツをIT投資などに振り向ける方針だ。

SCBのアーティット頭取は地元紙のインタビューで、オンラインバンキングの拡大を見据え、米国の大手ハイテク企業と業務提携の可能性について交渉していることを明らかにした。

同頭取は「金融サービスへの他業態からの参入やフィンテックの世界的な普及により、商業銀行の業務は大きく変わらざるを得ない」と指摘。デジタル化が進む中で銀行が生き残るためには、先端技術を積極的に導入し、事業展開のテコ入れを図る必要があるとの考えを強調した。提携交渉は早ければ今年半ばごろには結論が出る見通しという。

※この記事は時事通信社の提供によるものです。(2018年3月14日記事)

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