人事の課題を解決する方法、ここにあります。【第4回】CSV経営を実現できる人材像とは

時代が変わり、業界の流れが変われば、必要な人材も採用の方法も変わる。
人材紹介で長年の実績と知見をもつ尾崎将範氏が、日系企業が抱える人事の課題を解決に導く。

みなさん、こんにちは。日系企業向け求人サイトJobsugoi.com代表の尾崎です。旧年中は大変お世話になりました。今年もよろしくお願い申し上げます。
さて、巻頭の特集にもあるように、アジア諸国では社会問題・環境問題をいかに解決するかというのが大きなテーマになっています。
かつての日本がそうであったように、その土地で生まれ育ち、その環境が当たり前だと思っていると、問題が顕在化するまでは多くの人が気づくことができません。ただし、環境、交通渋滞、教育、あるいは少子高齢化など、国としてさらに発展するために、既に世界で起こっている問題に対して今のうちから解決策を講じるのに十分間に合う、というのもまた事実です。

例えば水質や土壌の汚染に対して政府が新しい法律を制定する、あるいは何らかの規制に乗り出すというのは、先進国になるために必要な道のりを辿り始めている、とも見ることができます。東南アジアでは先頭グループを走るタイがいよいよ次のステージへ駆け上がる、そんなタイミングなのではないでしょうか。
その環境にいると気づくことが出来ない、ということは、違う環境から来た人、あるいは他の環境を経験した人は気づくことができるということです。つまり、我々日本人を含む外国人、そして留学経験者を主とする海外生活をしたタイ人、ということになります。

留学経験のあるタイ人がキーパーソンになる

我々外国人が「日本ではこうやってうまくいっているのだからこれが正しいのだ」などと言おうものなら、あるいは態度に出しただけでも当然反発されるでしょう。かつての日本が外圧で感じた経験を活かすべきです。
日本留学を経験した人材は、現時点では日本語が話せるエンジニアや営業スタッフ、通訳、そんな役割を企業内で果たしています。彼らが、もしそれだけではなく日本で経験したことを企業内に広めていく役割を担ってくれれば、タイの発展に寄与できるとともに、我々がやりたいことも同時に実現できるのではないでしょうか。
では、彼らにスムーズに活躍してもらうため、言い変えると、彼らが周りから「留学から帰って来たからって偉そうに」というイメージを持たれないためにはどうすれば良いのでしょう。

我々外国人は、将来便利になるためにするべきことを知っているとともに、便利さと引き換えに起こした悲劇も知っているわけです。まず我々が経済の発展とともに起こった辛さを話し、それを起こさないために環境を経験してきた留学組を現場の実行役・リーダー役として全員に意図や将来像を伝えてもらいながら、悲劇を伴わない発展を共につくることが必要なのではないでしょうか。


代表取締役CEO/博士(教育工学)、MBA(人事・組織戦略)
尾崎将範
グローバルリサーチ社にて人材コンサルタント・ヘッドハンターとして18年の経験を持つ。東南アジア全域での展開を見据え、2014年にJobsugoiを設立。

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