日タイイノベーションサポートネットワーク設立

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日タイのスタートアップ企業と、タイの財閥、在タイ大手日系企業を繋ぐことを目的とした在タイ日本大使館主催のプロジェクト、「Embassy Pitch」が8月31日に開催された。

同プロジェクト推進を担当する日本大使館の福岡功慶書記官は、プロジェクトの経緯について、「タイ政府はスタートアップ振興を進めており、日本・経済産業省も日系大手企業がイノベーションを生み出していくのに、ユニークな技術やアイディアを持ったスタートアップとの連携は非常に有意義なものになる要と考えています。この考えを基にスタートアップ業界を成長させ、現地で大きなビジネスを創出していくため、 『Embassy Pitch』を開催、また、9月9日には官民連携促進団体『日タイイノベーションサポートネットワーク(JTIS)』の設立に至りました」と解説する。

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日本大使館の福岡功慶書記官

スタートアップへのヒアリングから、現地日系スタートアップ最大の課題は、現地で絶大な影響力を持つタイの財閥企業や在タイ日系大手企業への食い込みであることが明らかになった。また、スタートアップが行うビジネスは従来の常識に捉われないものが多く、現行規制との関係をリスクと感じているという話も多くあったと福岡氏は話す。「海外で日系のスタートアップが成功するためのサポートを仕組化していくことが重要です。そのため、まずは成功事例を泥臭くても良いので積み重ねていくことだと思っています」。

大使館の人脈を開放

Embassy Pitchの開催にあたっては、日本大使館の人脈をスタートアップに開放するというコンセプトで、佐渡島志郎大使も積極的に声かけを行い、経営幹部・意思決定者のみの完全招待制ピッチイベントを企画。
タイミングを同じくして、経産省では新産業創出に向けた日ASEAN協力について議論を進めており、また、スタートアップと大手企業の連携促進を具体化することは経産省の大方針とも合致したことから、タイでの動きをモデルケースとして、他の国へ横展開しようという方向性が決定。さらに世耕弘成経産相の訪タイも重なり、スタートアップ振興についてもアジェンダの一つとしてもらえたと福岡氏は話した。
タイ側からも、ピチェート・ドゥロンカウェロート科学技術大臣がSNSで「展示会からいかにリアルビジネスへ繋げていくのかが重要であり、その意味でEmbassy Pitchは特別で称賛されるべき会だった」とコメントを残すなど評価が得られた。今年度内には2回目となるEmbassy Pitchの開催も予定しており、スタートアップ企業と大手企業、双方にとってコネクションを形成するプラットフォームとしての役割を果たしていきたい考えだ。

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