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疲れ、痛み、不調を新年に持ち越さない! からだメンテナンス塾

arayz dec 2015

仕事でたまった体の疲れ、ゴルフやデスクワークで慢性化した痛み、そして不調。今年も1年間忙しく働きまわったビジネスパーソンの“からだメンテナンス”に役立つ情報を総まとめ。
元気な身体で新年を迎えるためのヒントを集めました。

タイ生活で気をつけるべき病気はこれ! 疾患編

海外暮らしにはストレスがつきもの。週末のゴルフ接待、偏った食生活、車移動がもたらす運動不足、冷たいコーヒーやビールの多量摂取など、タイで働く日本人の周りには心身の健康を蝕む危険な習慣がゴロゴロと転がっている。放置すれば重大な疾患を引き起こす原因にもなりかねないため注意が必要だ。
タイで暮らし、働く日本人がかかりやすい疾患とは?
サミティヴェート病院の堀川真由香医師、ブレズクリニックの医療コーディネーター・高田智子氏に、気をつけるべき疾患と、その予防&治療方法について伺った。

自覚症状のない内臓疾患

サミティヴェート病院スクムビット健康診断センターで診療を担当する堀川医師が勧めるのは、血糖値、血圧、血中脂肪、尿酸値のチェックだ。
「これらの項目は血液検査で数値が確認できます。糖尿病の恐れがある血糖値が高めの方は、炭水化物や甘いものの食べ過ぎと運動不足、急な体重の増加に気をつけてください。特に血縁者に糖尿病の人がいる方は遺伝リスクが高いことも忘れずに。
動脈硬化、脳梗塞、心筋梗塞の原因になり得る高血圧は、140/90㎜ Hgを超えた場合、生活スタイルの改善が勧められます。それでも下がらないようなら、血圧を下げるための投薬が必要になります。アルコールの多量摂取、塩分の摂り過ぎ、太り過ぎに注意してください。気になる方は家庭用の血圧計で毎日数値を記録し、病院で医師と相談されることをお勧めします。
また、血中脂肪が増える脂質異常症(高脂血症)の診断目安となる中性脂肪、LDL(悪玉コレステロール)、HDL(善玉コレステロール)の数値が心配な方は、食生活が直接的な原因になり易いため、野菜や魚中心の食事を心がけましょう。油を多く使う炒め物や揚げ物は少量にに控え、バランスを考えた食生活を心がけてください。肉類も脂分に気をつければ問題はありません。肝機能を落とす脂肪肝は、体重とアルコール摂取量の減量で治せる確率の高い疾患です。痛風に関わる尿酸値の高い方も、休肝日を設けること、ビールやレバーなどに多く含まれるプリン体の摂取を控えるべきです」。
仕事の付き合いや住環境の問題から、塩分、脂分の多い外食、糖分の多い外食やタイ料理が避けられない人も、まずはメニュー選びから食生活の見直しを。
つい冷たいコーヒーや炭酸飲料に手を出しがちだが、堀川医師によれば、一日1.5リットルは水を飲むべきだそう。甘い飲み物が癖になっている人は、水に切り替えるチャレンジを。市販の野菜ジュース、フルーツジュースについては糖分が少ないものであれば、野菜やビタミン不足の解消として飲んでもOK。
運動については週に3回、1回あたり30分程度の有酸素運動を行うべきとのこと。ジョギングやウォーキング、水泳は急には習慣化できないが、ゴルフの時はカートを使わず歩く、職場の移動をエレベーターから階段に変えるなど、普段の生活を工夫するだけでも運動量は増やせる。
女性は年に一度の乳がんと子宮頸がん受診を。乳がん検診に使うマンモグラム+乳房超音波の画像検査は35〜40歳以上が対象だが、血縁に乳がんを患った家族がいる場合は対象よりも若い年齢でも受診が勧められる。
乳がん検診による早期発見率は高く、症状の有無に関わらず、精密な検査を受けることが重要だ。男性は血液検査から腫瘍マーカーで大腸がん、肝臓がん、前立腺がんのチェックもできる。

ストレスが要因になり得る疾患

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胃カメラ検査は長くても半日あれば受診できる

「ストレスが要因になり得る疾患の代表例としては胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎が挙げられます。食事の時間帯がバラバラという方も注意が必要です」。
これらの疾患には胃カメラを使った検査が有効だ。食道から胃まで通して内側から観察できるため、エックス線によるバリウム検査よりも確実で、がんを誘発する細菌として知られるピロリ菌を見つけることもできる。
驚くべきことに、胃カメラ検査を受けた日本人で所見がないケースはほとんどないのだとか。
近年のさまざまな研究で、胃カメラによる検査の胃がんに対する有効性が確認されている。2015年6月に開かれた厚生労働省に専門会員会で、自治体の胃がん検診でも、来春からは新たに内視鏡(胃カメラ)検査が導入される見通しとなった。
同院でも、胃カメラ検査を受診する人の数が男女とも昨年の倍近くに増えたという。
「当院では胃カメラ、大腸カメラの技術交流を世界的な権威である神戸市の佐野病院と定期的に行っています。これらの検査は『のど麻酔』受診と、眠っている間に受診できる『鎮静剤』の2タイプあり、検査中にポリープが見つかった場合はその場で処置も可能です」。
がんは早期での発見が完治率に関わってくる。内蔵の病気は自覚症状が出ないものもあるので、年に一度、血液検査による値の推移確認とがん検診を受けることで手遅れを防ぎたい。

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サミティベート病院スクムビット
堀川真由香医師

常夏の暑さによる疾患

年間平均気温29℃、平均湿度73%と、日本の7〜8月と同じような気候が年中続くタイ(※)。
BTSアソーク駅、MRTスクンビット駅から徒歩1分、日本人が常駐するブレズ薬局の隣に『ブレズクリニック』がオープンした。日本の看護師免許を持ち、同クリニックで医療コーディネーターを務める高田氏は、タイの高温多湿な気候が原因で起こる疾患は男女で異なると話す。
「ブレズ薬局へご相談に来られる日本人の方の疾患で多い、風邪、扁桃腺の腫れ、下痢を除けば、男性では水虫が最も多い疾患です。原因となる白癬菌(はくせんきん)はカビの一種で、高温多湿な環境を好むため足で繁殖しやすく、仕事で一日中革靴を履いたまま過ごす、30〜50代の日本人ビジネスパーソンの方が多く薬を求めに来られます。
かゆみ、ひび割れ、発疹やただれなど、それぞれの症状に合ったクリームやローションといった塗り薬のほか、飲み薬を処方しています」。

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ブレズ薬局で入手可能な水虫の治療薬

平日は通気性の悪い革靴の中に、さらに土日もゴルフシューズの中に閉じ込め、白癬菌に居心地の良い環境を作り続けている日本人。革靴は同じものを二日連続ではき続けることを避け、一日はいたらしっかり湿度を逃がし、ムレを避けることが予防策となる。
白癬菌は髪や爪などに含まれるタンパク質、ケラチンを栄養源として好み、人を介して(男性だけでなく女性にも)感染する。ジムやゴルフ場のロッカー、シャワールームといった共用スペースを裸足で歩いた時に感染する可能性もあり、家族や同居人への感染を防ぐためにも、家に帰ったらまず足を洗う、感染者は完治するまでは自分だけのバスマットを使用するなど注意したい。
「放置すれば悪化する一方です。特に皮がむける、爪の中まで感染して白っぽくなってしまった場合は飲み薬も服用し、根気よく治療を続ける必要があります」。

女性の約20%が経験する疾患

女性からの相談で最も多いのは膣カンジダだという。カンジダ菌は女性であれば誰もが持つ常在菌であり、環境の変化によるストレスや疲れ、風邪をひいて抵抗力が落ちた時、ホルモンの変化などがきっかけで発症する。
白癬菌と同様に、カンジダ菌も高温多湿を好むため、生理周期で体温が上がる時期はきつく通気性の悪い下着や濡れた水着、湿った衣類の着用を避けることが予防策となる。

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膣カンジダにはデリケート部位のかゆみ止めクリームも

「日本では女性の5人に1人に発症経験があるという調査結果も出ていて、暑いタイは日本に比べて発症のリスクが高いと言えます。デリケート部位のかゆみと、酒粕(カッテージチーズ)状のおりものという自覚症状のある疾患です。治療薬にはクリームの塗り薬や膣錠、飲み薬のほか、かゆみがひどい場合は膣内のカンジダ菌を洗い流す洗浄液もあります。再発率が高く、タオルや性交渉から男性へ感染するケースもあるため注意が必要です」。

※在タイ日本国大使館ホームページより情報引用

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ブレズクリニック
医療コーディネーター
高田智子氏

まとめ 1に健康診断、2に生活習慣とストレス管理

堀川医師、高田氏ともに、タイで暮らし、働く日本人ビジネスパーソンが心身共にバランスの取れた健康を維持するには、生活習慣とストレスの管理が効果的だと話す。
来年の健康を作るのは今年の自分。不調や不安を取り除くためにも、第1に毎年の健康診断を、第2に生活習慣の見直しを怠らないようにしたい。

“症状の度合いによりますが、検査で生活習慣病が見つかったら、まず生活習慣を改善変えて症状の改善を目指すことをお勧めしています( 堀川医師)

当クリニックの医師は内科、小児科、皮膚科(アレルギー)の専門。
疾患を引き起こす原因となる、仕事や生活環境の改善方法についてもアドバイスしています( 高田氏)”

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取材協力:
SAMITIVEJ SUKHUMVIT HOSPITAL
133 Sukhumvit 49, Klongtan Nua,Vadhana, Bangkok 10110
02-022-2334(健康診断予約)

BLEZ CLINIC
417 Sukhumvit Rd., Klongtan Nua,Wattana, Bangkok 10110
02-258-2628

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