ビジネス・経済 2017.12月号

【連載】カシコン銀行経済レポート 2017年11月号

タイ経済・月間レポート(2017年11月号)

輸出と観光業が引き続き国内経済を牽引

・2017年9月のタイ経済は引き続き拡大しました。海外の需要増に沿って物品輸出と観光業が順調に拡大しました。さらには、民間消費と民間投資も拡大しました。その結果、工業生産も拡大しました。しかし、公共投資は前年同月の支出が多かった反動で落ち込みました。・2017年10月の消費者物価の上昇率は、前年同月比0.86%上昇し、前月に比べ横ばいとなりました。原油価格の上昇と酒・たばこの物品税制改正で、非食品部門の上昇が顕著でした。一方で、振れ幅の大きい生鮮食品とエネルギーを除くコア・インフレ率は、前年同月比0.85%の上昇で、前月から伸びが横ばいでした。

・タイはデジタル化の波に乗っており、産業や社会に極めて大きなインパクトをもたらす時代の潮流を捉えています。あらゆる産業デジタル化が進んでいることに加え、タイ政府もタイランド4.0やE‐政府戦略等の政策により、デジタル経済を支援しています。

・デジタル化に必要とされるネットワーク・インフラ整備は、世界経済フォーラムのネットワーク成熟度指数によると、タイは2016年には62位となっており、2013年の74位から大幅にランクアップしました。とりわけ、3G、4Gの移動体通信ネットワークのカバレッジは、タイ人口の95%以上に達しています。

2017年9月のタイ経済情報

タイ中央銀行が発表した2017年9月の重要な経済指標によると、タイ経済は拡大基調が持続しています。物品輸出と観光業の成長が牽引しています。また、民間消費と民間投資も拡大しました。しかしながら、公共投資は前年同月の支出が多かった反動で落ち込みました。

9月の民間消費は前年同月比2・8%上昇し、前月の同1・9%増を上回りました。自動車を中心に耐久消費財が同7・4%上昇したほか、サービス支出も推定同5・0%伸びました。農家収入は緩やかな回復を示し、非農家収入は横ばいでした。

一方で、民間投資は前年同月比0・9%上昇し、3ヶ月連続でプラス成長となりました。機械や商用車の国内販売の好調を受けて、設備・機械投資で改善が見られました。それに加え、コンドミニアム(分譲マンション)の供給拡大で建材販売も伸びました。

9月の輸出は、前年同月比13・4%上昇し、2ヶ月連続で2桁成長となりました。全ての主要市場向けとほぼ全ての商品分野で増え続けています。原油相場に連動する物品の輸出額は、輸出価格、輸出数量ともに増えました。特に石油製品の輸出が顕著に伸びました。農産物製品では、ゴム製品や砂糖などの輸出が増加しました。電子製品では、スマートフォン、電圧制御機器の輸出が増えました。自動車・同部品では、タイヤ、エンジンの輸出が好調で、またピックアップ・トラックのオーストラリア、中東向け輸出は数ヶ月ぶりに増加に転じました。

工業生産に関しては、前年同月比4・2%増加しました。国内外の需要に備えるため、多くの製品分野で拡大しました。自動車では、内外需要の拡大を受け、ディーゼル・エンジン、ピックアップ・トラックの生産が拡大しました。輸出が好調な集積回路の生産も増えています。

観光業では、外国人観光客数が前年同月比5・7%増の260万人となりました。中国からの観光客が増えました。違法ツアーの取り締まりが始まった前年9月の数値が低くなっていたローベース効果が一因です。韓国からの観光客も増加しました。しかし、マレーシアからの観光客数は落ち込みました。

2017年10月のタイのインフレ率

商務省が発表した2017年10月のヘッドライン・インフレ率は、前年同月比0・86%上昇し、前月に比べ横ばいとなりました。原油価格の上昇と酒・たばこの物品税制改正で、非食品部門の上昇が顕著でした。

品目別にみると、構成品目全体の64%を占める非食品部門が前年同月比1・11%上昇しました。原油価格の上昇に伴い、国内の車両向け燃料の小売価格が上がり、運輸・通信のうち燃料石油が4・9%上昇しました。たばこ・酒は5・6%上昇し、9月の物品税制改正に伴う値上げが影響したと見られます。

また、食品・飲料部門は0・4%上昇しました。月末の菜食週間で需要が拡大した一方、大雨でパクチーや空心菜、白菜など葉物野菜や一部の果物の供給量が減少したことなどから、今年3月以来の高い伸び率となりました。

一方で、振れ幅の大きい生鮮食品とエネルギーを除くコア・インフレ率は、前年同月比0・58%の上昇で、前月から伸びが横ばいでした。

2017年11月の外為相場

10月下旬は、今回の与党大勝により安倍政権の継続が確定的となり、黒田日銀総裁が続投する可能性を含め現状の積極緩和姿勢が続く可能性が高まりました。この原因により、ドル高・円安傾向が進みました。さらに、12月12日、13日両日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ決定はほぼ確実視されており、ドル高傾向が継続すると予想されます。

米ドル/円相場の変動について、11月13日には1ドル=113・7円の終値をつけ、10月13日の1ドル=111・8円から円安傾向を見せました。

タイにおけるデジタル化社会の波

デジタル技術は、今や世界経済のあらゆる側面に浸透し、銀行や、小売り業など様々な部門に影響を及ぼしています。タイでも、あらゆる産業でデジタル化が進んでいることに加え、タイ政府もタイランド4・0やEー政府戦略等の政策により、デジタル経済を支援しています。

タイにおいて、デジタル化に必要とされるネットワーク・インフラ整備は、世界経済フォーラムのネットワーク成熟度指数によると、2016年には62位となっており、2013年の74位から大幅にランクアップしました。とりわけ、3G、4Gの移動体通信ネットワークのカバレッジは、タイ人口の95%以上に達しています。

現在、タイ消費者の60%以上は、3G、4Gのモバイル・インターネットを利用しています。その大部分は、スマートフォンでインターネットに接続しています。また、家庭およびビジネスの場においてスマートデバイスに対する理解が進み、使い方を学んだ人々がデジタル化を進めています。

この状況の中、タイのビジネス・セクターの大半が、インターネットを通じて、顧客とのやり取りや、マーケティング活動を行なっています。とりわけ、中規模および大規模企業は、ビジネスの競争力を強化する目的で、情報通信技術への投資を継続しています。
現在、タイの移動体通信ネットワーク整備は、タイ全土をほぼカバーしていますが、データ通信の需要も年々大幅に増加しているため、移動体通信事業者は今後もモバイル・ネットワークへの投資を継続すると見込まれます。

一方で、光ファイバーを使用する固定ブロードバンド・ネットワークは、タイ全土の約40%しかカバーしていないため、都市と地方の情報格差は依然として存在しています。よって、タイ政府は、その情報格差の是正のため、2018年までにタイ全土をカバーできるよう、固定ブロードバンド・ネットワークの投資を実施しています。

こうした変化の中で、タイ消費者の行動も変わりつつあります。例えば、インターネットの高速化およびスマートデバイスの普及拡大により、タイ消費者は、一日あたり1時間以上、オンラインで音楽やビデオなどの娯楽を楽しんでいます。また、タイ、特にバンコク首都圏の消費者は、インターネットで買い物をする人がかなり増えてきています。
上記の動きを背景に、タイはデジタル化の波に乗っており、産業や社会に極めて大きなインパクトをもたらす時代の潮流を捉えています。タイのデジタル化時代の進展と伴に、ビジネス企業にとって、新たなビジネス・チャンスが生まれると考えられます。

本資料は情報提供を唯一の目的としており、ビジネスの判断材料とするものではありません。掲載されている分析・予測等は、資料制作時点のものであり、今後予告なしに変更されることがあります。また、予測の妥当性や正確性が保証されるものでもありませんし、商業ないし何らかの行動の為に採用することから発生した損害の責任を取れるものでもありません。本資料の予測・分析の妥当性等は、独自でご判断ください。

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