ビジネス・経済 2018.02月号

【連載】カシコン銀行経済レポート 2018年1月号

タイ経済・月間レポート(2018年1月号)

11月のタイ景気は着実なペースで回復に向かっている

► 2017年11月のタイ経済は幅広い分野で拡大しました。内外需要の拡大が景気を牽引しました。また、民間投資と公共支出も拡大しました。その結果、工業生産は拡大に転じました。► 2017年12月の消費者物価の上昇率は、前年同月比0.78%上昇し、6ヵ月連続で上昇しました。2017年通年の上昇率は前年比0.66%となりました。原油価格の上昇と酒・たばこの物品税制改正で、前月から伸びが加速しました。一方で、振れ幅の大きい生鮮食品とエネルギーを除くコア・インフレ率は、同0.62%の上昇で、前月から伸びが横ばいでした。
► 2018年のタイ経済は引き続き拡大基調にある見込みです。公共・民間投資がタイ経済成長に最も重要な役割を果たす見通しです。世界経済の回復を背景に、輸出拡大も続くものの、その拡大テンポは減速すると予想します。一方で、民間消費は横ばいとなると見込まれます。よって、2018年のタイ経済成長率は、通常ケースで前年比4.0%増となると予測します。

► 2018年の消費者物価は上昇傾向にある見込みです。農産物価格は低下傾向にあるものの、世界原油価格の上昇傾向とともに交通費などが上昇する見込みで、消費者物価の押し上げ要因となると予想します。2018年のヘッドライン・インフレ率は通常ケースで前年比1.1%増となると予測します。

2017年11月のタイ経済情報

タイ中央銀行が発表した2017年11月の重要な経済指標によると、タイ経済は拡大基調が持続しています。景気回復の恩恵は幅広い分野に及びつつあります。物品輸出と観光業の成長が引き続き牽引しています。また、民間の消費と投資の改善で製造分野にも回復が見られるほか、公共支出も拡大しました。

11月の民間消費は前年同月比1・9%上昇し、前月の同1・4%増を上回りました。特に耐久財への支出が同13・4%増と伸びました。非農家世帯の所得が堅調さを維持している一方、農産物の生産量と価格が下落していることで、農家世帯の購買力は勢いを欠いています。

一方で、民間投資は前年同月比1・5%上昇し、5ヵ月連続でプラス成長となりました。特に通信やエネルギー分野などで資本財の輸入が拡大したことを受け、機械・設備への投資が増加しました。建設への投資もわずかに改善しました。

11月の輸出は、前年同月比12・3%上昇し、4ヵ月連続で2桁成長となりました。全ての主要市場向けにほぼ全ての商品分野で増え続けています。コメやゴム、電子・自動車部品の需要が回復したほか、原油価格の上昇で石油関連製品の輸出額も伸びました。
工業生産に関しては、前年同月比4・2%増となり、前月の同0・1%減からプラスに転じました。また、季節調整済みの前月比でも4・1%増となりました。内外需要の好調を受けて、多くの工業の生産が順調に伸びています。

観光業では、外国人観光客数が前年同月比23・2%増の300万人となり、前月の同20・9%増から一段と伸びが加速しました。中国人向けの違法ツアー摘発で、前年に中国人旅行者が急減したことへの反動に加え、ロシアへの新たな直行路線の就航が寄与しました。

2017年12月のタイのインフレ率

商務省が発表した2017年12月のヘッドライン・インフレ率は、前年同月比0・78%上昇し、6ヵ月連続で上昇しました。2017年通年の上昇率は前年比0・66%となりました。原油価格の上昇と酒・たばこの物品税制改正で、前月から伸びが加速しました。

品目別にみると、非食品部門が前年同月比1・1%上昇しました。原油価格の上昇に伴い、運輸・通信のうち燃料石油が同3・4%上昇しました。それに加え、9月の物品税制改正の影響を受け、たばこ・酒が同5・8%上昇しました。一方で、食品・飲料部門は同0・2%上昇しました。総菜類と外食がそれぞれ同1・23%、1・20%上昇した以外は、マイナスが多かったです。

一方で、振れ幅の大きい生鮮食品とエネルギーを除くコア・インフレ率は、前年同月比0・62%の上昇で、前月から伸びが横ばいでした。

2018年1月の外為相場

2015年12月に米連銀は量的金融緩和とゼロ金利政策を終了して正常化プロセスを開始し、最初の利上げを実施しました。2016年は年4回の利上げ予測に対し、12月に1回の利上げを行ったのみでしたが、2017年は市場予測通りに3月、6月、12月と3回の利上げを実施しました。また、9月には米連銀のバランスシート縮小も開始しました。

米連銀による利上げ継続でも、年末年始にかけてドルは下落しました。今年は、米連銀の利上げは3回、1回目の利上げは3月と予測されます。

2018年のタイ経済成長は公共・民間投資が主要な牽引役

2018年のタイ経済は引き続き拡大基調にある見込みです。公共・民間投資は、今年のタイ経済の最も重要な原動力となると予想します。世界経済が回復軌道を辿っている背景として輸出拡大は続くものの、その拡大テンポは減速する見通しです。一方で、民間消費は横ばいとなると見込まれます。

タイ政府は、大型インフラ投資を通じて、将来の経済発展を支える基盤とするほか、これを経済成長を押し上げる景気対策の一つとして推進しています。2018年の主要な公共投資はイエローライン・ピンクライン・オレンジラインの新電車路線などの国営企業関連大型交通インフラ整備があります。また、鉄道の複線化やスワンナプーム国際空港の第2期拡張事業などの現在進行中のプロジェクトもあります。その結果、カシコンリサーチセンターは、2018年の公共投資が昨年と比べ大幅に増加し、通常ケースで前年比8・0%増になると予測します。

一方で、民間投資も公共投資拡大に追随して上向く見込みです。公共投資拡大および政府による民間投資の刺激措置により、投資家の信頼感が改善傾向に転じ、全体的な投資環境が改善すると予想します。カシコンリサーチセンターは、2018年の民間投資が通常ケースで前年比3・0%増になると予想します。

観光業部門に関しては、昨年に引き続き拡大傾向にあると見込まれます。世界経済の回復を背景に、訪タイ外国人観光客数は依然として上昇傾向にある見込みです。2018年の外国人旅行者数は通常ケースで前年比7・0%増の3780万人に達し、観光収入が同9・3%増大すると予測します。

民間消費は、依然として家計債務残高の重石や、農産物価格低迷による農家の購買力低下などにより下押し圧力がかかる見込みです。しかしながらタイ政府は、家庭向け消費を高めるため、低所得者向けの支援策、最低賃金の引き上げ、農家向けの支援策など購買意欲の喚起を行う政策を昨年に引き続き実施しています。よって、カシコンリサーチセンターは、2018年の民間消費は横ばいとなり、通常ケースで前年比3・0%増になると予測します。

2018年も輸出の拡大基調は続く見通しです。タイの貿易相手国の景気が全体的に回復傾向にあることから、タイの輸出成長にプラスに影響することが一因です。しかしながら、農産物価格の低下や世界市場でコンピュターの買い換えサイクルがピークを超えたことなどにより、輸出拡大のテンポは減速する見込みです。カシコンリサーチセンターは、2018年のタイ輸出額が通常ケースで前年比4・5%増になると予測します。

一方で、消費者物価は上昇傾向にある見込みです。国内農産物価格は低下傾向にあるものの、世界原油価格の上昇傾向とともに交通費や電力料金などが上昇する見込みで、消費者物価の押し上げ要因になると予想します。カシコンリサーチセンターは、2018年のヘッドライン・インフレ率は通常ケースで前年比1・1%増となると予測します。

従って、カシコンリサーチセンターは、2018年のタイ経済成長率が、通常ケースで前年比4・0%増の見通しで、前年比ほぼ横ばいになるものと予想しています。

“2018年のタイ経済成長率は、通常ケースで前年比4.0%増の見通し”

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