知的財産経営in東南アジア

知的財産経営in東南アジア 「下町ロケット」のあのシーン、会社で起こったらどうしますか?【第8回】|Masuvalley

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帝国重工への“特許譲渡”って何ですか?

特許をあたかも商品のように売ったり買ったりする流れが東南アジアでも起きつつあり、特に現地の大学を中心に少しずつ取引が見られるようになって来ました。シンガポールでは特許の売買を政府主導で旗振りしており、日本では電機メーカーを中心に年々大きなマーケットに成長してきています。欧米では、既に巨大な取引が行われてきました。

ドラマの第二話で、帝国重工の開発部長が佃社長に「佃製作所の特許を20億円で売却のうえ、譲渡してくれないか」と頼んでいたシーンがありました。他社の特許を買ったり、自社の特許を売ったりすることを「特許売買」と呼びます。権利を譲渡(売却)する特許売買は、今後、設計・開発をする企業間で増えていきます。
ところで、特許庁の年報によると、日本国内での特許出願数は2001年の約44万件をピークに、14年には33万件弱へと約25%減少しています。また、科学技術・学術政策研究所の集計によると、日本の研究者が発表した論文の数も04年をピークに12年には5%減少。世界全体での特許出願と論文発表の数は、それぞれ1.7倍、1.5倍に増加しているので、日本の研究開発に投資する体力は、「失われた20年」の中で急速に低下していることが分かります。
このような日本の状況下で、日本企業のマーケットが多国へ広がっているトレンドを考慮すると、日本企業の特許戦略も変化せざるを得なくなります。今後は、外国出願の増加に伴う特許費用の増大に対処するため、企業が出願する発明を厳選したり、特許の売買が増えて行くのではないかと考えています。
具体的には、佃製作所のような中小企業の保有する東南アジアの特許を、帝国重工のような大企業が欲しがるケースは増えていくだろうと予想しています。実際に、欧米ではこのような現象が2010年以降、どんどん増加しつつあり、今では非常に大きなマーケットになっています。そのため、中小企業の特許の資産価値も、今後は益々評価されていく傾向が強まるのではないかと思います。
次回からは、ASEAN現地の日本企業で発生している営業情報の流出についてお話します。
(次回はArayZ11月号に掲載されます)

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執筆者:舛谷威志
東南アジア、日本、アメリカ、中国に拠点を持つMasuvalley and Partnerのオーナー兼パートナー。2004年にアメリカで起業した後、多国間にまたがる技術法務の現地事務所を各国に設立。現在、弁護士・弁理士は、日本人5名、アメリカ人5名、中国人・タイ人合わせて5名の、合計15名が所属。

東南アジアでは、日本製品の物マネが横行しています!

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