法務・会計・税務 2017.03月号

【連載第37回】但野和博のコンサルコラムサポート実録記

事例別に紹介する新シリーズ!
個人所得税編(2)「コムファイ社の場合(中編)」

〜赴任初年度、タイで初めて申告納付する川外さん。コムファイ社の日本本社を担当する街の税理士・猿山先生から源泉徴収票を取り寄せ、所得税の追加納付額を計算して提示したところ…~
※本事例のコムファイ社タイ法人は駐在員1名、スタッフ規模6名程度の製造アセンブリ業である。

「えっ、追加でこんなに払うものなのですか?」
「そうは言っても、通常は会社が負担するケースが多いんですよ。御社のように、最初にグロスアップ計算といって、毎月それを加味した金額で給与を決めているわけではなく、その上、日本での所得を毎月合算せずに、今回のように年度でまとめて対応している場合は、どうしてもこの時期、タイでも結構な額をまとめて納める必要があるんです。あとは会社のポリシー次第ですが、大体は最終的な差額を算出して、まとめて会社が面倒をみていますよ」。

要は駐在員の身分としては本社に帰属し、現地に送り込まれているわけだから、それにより日本の給与が減るのはありえないことで、それを是正する方法がグロスアップ計算だ。
Tax on Tax計算とも呼ばれることもある。 しかし、“そもそも給与が減ることがあり得るのか?”という質問に正確に答えるならば、あり得る。同じ額面の給与でも、税金など控除されるものが変われば、当然手取りも変わる。タイに限らず、所得税率や所得税控除対象額などは国によって変わるため、変わらないことのほうが不自然なのだ。

タイの場合、所得税率は日本より低いものの、所得控除対象額が日本に比べて圧倒的に少なく、額面が同じ金額であれば、タイでは必然的に手取額が下がることとなる(プチゼミナール参照)。
そうなると手取額が下がらないように、あるいは同じになるように、手取額から逆算して給与総額を決める必要がある。その際、通常は給与総額が増え、その増えた分、つまりグロスアップ分が税金を構成することになる。算出には回帰計算のようなことをするのだが、表計算ソフトであれば関数など使えば良い。
コムファイ社でもこのグロスアップは本社と調整できた。しかしこの後、川外さんの希望に適わない事態が…。
(次回に続く)

※クライアント様の匿名性を保つために社名・人名等をはじめ、事実から離れすぎない程度の内容の変更等、脚色部分があります。

Accounting Porter Co., Ltd.
代表者 : 但野和博
所在地 : 24 Prime Building, 12th Fl., Room No.A, Sukhumvit 21 Road (Asoke), Klongtoey-Nua, Wattana, Bangkok 10110
電話番号 : 02-661-7697
事業内容 : 記帳代行、経理コンサル、進出支援等、顧客企業の事業の発展に寄与するサービス業
提携先 : 愛宕山総合会計事務所 /
日本 (代表:日本国公認会計士相川聡志)
E-mail : kazuhiro.tadano@aporter.co.th
http://aporter.co.th/


但野和博
2012年5月タイ・バンコクにて、Accounting Porter Co., Ltd.を設立。日系企業の進出サポート及び経理を中心としたバックオフィスサポートを提供するサービス業として、同社を運営中。
日本での上場事業会社2社通算6年のCFO経験を活かし、日本本社部門との直接の対応を含み、現場では管理部門の立て直しを含めた相談にも対応している。
本コラムでは、タイの経理現場で起きていることを中心に具体的なサポート実例を交えて執筆中。

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