【連載】但野和博のコンサルコラム サポート実録記“タイの経理現場より”

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ダラート社編(最終回)「充足感か疲労感か」

【前回迄のあらすじ】
~タイ側株主との面談の立ち会いに通訳とセットで依頼されたスポット案件。それぞれに言い分があるもののなかなか話が折り合わず、当事者の2人のみならず同行の通訳スタッフからも救いを求める視線が注がれるのだった…~

そんな重苦しい目線が飛び交う雰囲気もさすがに1時間位経つと、少しはお互い話をする歩み寄りが出てきた。ジャイディーさん側は3人同席していたが、その時いた彼の右腕のような一人が、おもむろにホワイトボードに資金関係についてそれまでと今後の説明をしながら上手に話を積み上げていった。
オペレーションまわりでいくつか課題点は残したものの、2時間を過ぎる頃には各当事者が今後、対応すべき事が何とか共通認識としてまとまってきた。結論としては、やはり各当事者がそれぞれの領分につき、協力姿勢を示してきちんと役割を果たすというごくごく当たり前のことだ。この当たり前にたどり着くまでが異常に長く感じた。充足感か疲労感かよく分からないものが後に残ったが、何とか今回のミッションも終え、後はレポートとして本木さんに報告するだけだ。結構えぐい内容のレポートにはなってしまったが、有りのままを伝えることが立場として求められるので、本木さんにはレポートでは書けないことも含めてまずは電話で伝えることに…。 ( ※1)
そして同じ日、そんな束の間の少しだけ開放感でほっとした状況で1本の電話が…。
「これからは小口の精算対応をしないとジャイディーさん側から言われましたが、そんな話に本日なってましたっけ?」と銀戸専務のまくし立てる声。「あぁ~、やはりTo Be Continuedなのかぁ」と心で嘆いた1日の終わり。
それから約1ヵ月ほどが経ち…。最後に銀戸専務に聞かれ当事者間で認識の擦り合わせをお願いしたこのオペレーションまわりの事が解決したのかまでは確認できなかった。ダラート社が直接の依頼先ではないから安易に確認も取れない。とはいうものの、本木さんからはタイ側新パートナーも決まり何とか移行できそうですとの連絡を受け、ようやく2時間で2倍苦しい、この案件も終わりを告げたのであった。
(次回から新編(ウイサー社編)が始まります)

※クライアント様の匿名性を保つために社名・人名等をはじめ、事実から離れすぎない
程度の内容の変更等、脚色部分があります。
(※1)
業種柄コンサルサービスを問わず、簡単なリサーチサービスでもクライアントの求めに応じてレポートを提出する機会が多い。参考までに、当社で関与した今回の件を例に下記に雛形を記載してみたので、自社で事象を整理する際の参考にでもしてもらえればと思う(通常概ね3ページ迄の内容にまとめることが多い)。

 

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Accounting Porter Co., Ltd.
代表者 : 但野和博
所在地 : 24 Prime Building, 12th Fl., Room No.A, Sukhumvit 21 Road (Asoke),
Klongtoey-Nua, Wattana, Bangkok 10110
電話番号 : 02-661-7697
事業内容 : 記帳代行、経理コンサル、進出支援等、
顧客企業の事業の発展に寄与するサービス業
提携先 : 愛宕山総合会計事務所 /
日本 (代表 : 日本国公認会計士相川聡志)
E-mail : kazuhiro.tadan@aporter.co.th
http://aporter.co.th/

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但野和博
2012年5月タイ・バンコクにて、Accounting Porter Co., Ltd.を設立。日系企業の進出サポート及び経理を中心としたバックオフィスサポートを提供するサービス業として、同社を運営中。
日本での上場事業会社2社通算6年のCFO経験を活かし、日本本社部門との直接の対応を含み、現場では管理部門の立て直しを含めた相談にも対応している。本コラムでは、タイの経理現場で起きていることを中心に具体的なサポート実例を交えて執筆中。

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