【連載】徳谷智史のグローバルトップリーダーへの「秘訣」~

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【第8回】 受注に繋げる「スキル」

グローバルトップリーダーの皆様に向けた本連載。今回のテーマは、ビジネスのキモである「営業」だ。事業成長のためには、デキるローカル営業スタッフは必 須。エッグフォワードでは、アジアで数多くの企業人材育成研修を手掛けるが、最近特にご相談の多いローカルスタッフの営業力強化について、複数回にわたっ て考えていこう―。

今回は、ビジネスのキモである「営業」の続編だ。前回の連載では、営業スキルアップ前半として、人間関係づくりとニーズ把握について見てきた。
今回は、引き出したニーズを、受注に繋げていくまでに必要なスキルについて考えていこう。リーダーの皆様が、現地スタッフを育成する際の参考にしていただければ幸いだ―。

顧客に求められる営業の「型」とは?

最近のコンサルティング現場の事例では、ローカル営業スタッフが陥りがちな「型」がある。1つは、依頼されたことそのまましかできない「御用聞き型」。
もう1つは、提案が毎回同じの「ワンパターン型」だ。
しかし、顧客に求められているのはニーズに対するベストな解決策を柔軟に設計できる「問題解決型」なのだ。

「問題解決型」に転換して急成長したA社

例えば、タイでの某業務用機器メーカーA社。ローカルスタッフの多くが、自社製品を紹介するだけの営業スタイルで業績が伸び悩んでいた。
しかし、営業改革PJを発足後、機器を通じて顧客の課題をどう解決するかの「問題解決型」に転換できたことで急成長を遂げた。

POINT①:製品と顧客課題を繋ぐ「橋」

そのための仕組みとして、自社の製品/サービスが、顧客企業のどんな課題を解決できるのかを体系だって見える化した。現場でヒアリングをかけると、現地スタッフは、自社の製品の理解で一杯一杯で、顧客の課題の解決にどう繋げていくのかを体系だって落とし込めていないことが殆どだ。
社内の成功/失敗事例の要因を踏まえて、〝自社製品〞と〝顧客課題の解決〞との間に、「橋を架ける」ことが必要なのだ。

POINT②:人を動かす「対話型プレゼン」

自社製品と顧客課題をうまく繋ぐことができても、その提案が顧客に伝わらなければ意味はない。そこで必要なのは、アクション(採用決定)してもらうための「対話型プレゼン力」だ。
ありがちなのは、用意した紹介資料をそのまま一方通行で話してしまうケースだが、本来は、キーマンを見定め、相手に応じて問いかけ・対話をしながら、伝えていくことが必要だ。このスキルを高めるのは自分独りだけでは難しく、営業現場でのOJTに加えて、現場に即したリアルシーンをベースにしてロールプレイを繰り返すことが大切になる。

POINT③:社内外を動かす「巻き込み力」

次に必要になるのは、社内外の「巻き込み力」だ。より良い解決策を策定・実行に繋げるためには、社内の他部門を動かしたり、クライアント側の人間を巻き込んでいくことが求められる。
そのためには、自分と相手のタイプに応じてコミュニケーションを変えることが有効だ。アセスメントを行い、個人別のコミュニケーションをのクセを把握し、対応策を取ることで関係は驚くほど円滑になる。ある程度のパターン別対応が可能なのだ。

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以上、最近のコンサルティングと人材育成の現場から、ニーズ把握から受注に繋げるためのポイントを見てきた。
このように、自社製品と顧客課題の間に橋を架け、対話型プレゼンを習得し、社内外を巻き込めるように、体系だったトレーニングを行えば営業スタッフのレベルは大きく上がり、業績向上にも直結する。
ぜひ現地スタッフを育成する責任を持つ皆様の参考にしていただければ幸いだ。

 

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徳谷 智史(とくや さとし)
エッグフォワード株式会社代表取締役。ASEANビジネス展開支援のエキスパート。
大手戦略コンサルティングファームにて、タイオフィス立上・代表就任後、独立し同社を設立。
日本では教育事業を手掛けるほか、タイ・東南アジア諸国において、日系企業を中心にメーカー、外食、小売、IT、商社など100社以上の幅広い分野の成長支援、展開支援を行う。
東洋経済オンライン、アジア消費者ラボ等メディア掲載多数。コンサルティング、講演等のご相談は下記まで。

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