Nikkei Business School Asia 2017 タイのビジネスは、タイ人に聞け!

日経ビジネススクールアジアが企画・運営する、バンコク開催の日系企業向け特別講座と視察プログラムが、それぞれ5月と7月に幕を開ける。


ガンタトーン・ワンナワス 氏
MEDIATOR CO.,LTD.CEO
1998年に単身来日。2004年埼玉大工学部を卒業後、在京タイ王国大使館工業部へ。タイ国王室関係者、省庁関係者のアテンドやコーディネート、通訳業務を務め、2008年に帰国。2009年にMEDIATOR CO.,LTD.を設立し、日本貿易振興機構(ジェトロ)、福岡県、全国商工会連合会などの日本政府機関の業務を請け負い日本企業のタイ進出やビジネスマッチングをサポートしている。この他、日本から商品を輸入してタイの主要小売業に卸販売する経験などを活かし、タイ国内での日本商品普及に取り組んでいる。在日経験は通算15年。

日系企業のタイ・メコン地域をはじめとする、ASEAN現地での人材教育・研修の拡充を図る日経ビジネススクール(NBS)アジアは、2015年にバンコクで特別講座をスタートした。3年目となる今年は、『タイ・メコンマネジメント&人材育成フォーラム』、チュラロンコン大学サシン経営管理大学院講師陣による『サシン・セッション』、『在タイ日系企業駐在員向け実務講座』、『タイ人ミドル・マネージャー向けスキルアップ講座』の4セッションを開講予定だ。
第一弾の『タイ・メコン マネジメント&人材育成フォーラム』は、現地日系企業マネジメント層が対象。『タイを知る』『タイ人を知る』『タイ人(部下)の育て方を知る』の3講座を通じて、“知っているようで知らなかったタイでのビジネス”についての知識と考え方を体系的に学ぶ機会となる。6月開催の第2回『タイ人を知る』で、CPオール社のマナ・アマタノン氏と共に講師を務めるガンタトーン・ワンナワス氏は、「市場を知るにも、パートナーを知るにも、まずはタイ人を知ることが成功への近道」だと話す。

ガンタトーン氏:
タイ人と働いたことのある日本人の方なら、誰しも一度は「タイ人は仕事に対するモチベーションが低い」と思ったことがあるでしょう。なぜ、日本人とタイ人の感覚は一致しないのでしょうか。
大きな理由の一つに、タイが元々持つ自然環境に由来する国民性があると、私は思っています。タイは農業に適した気候と土壌に恵まれ、食糧自給率は150%を超えています(※日本の食糧自給率は50%以下)。生きていくために必要な最低限の食糧を自前で満たしているタイ人にとって、仕事はあくまでもプラスアルファのもの。生きるために仕事をする日本人とは仕事に対する意識が異なる訳です。
また、四季のある日本には、厳しい冬を乗り越えるために人々で協力し合い食料を貯え、住環境を整える文化がありますが、常夏のタイには、いつまでにこうしないといけない、という認識があまりなく、時間の感覚もゆっくりしています。
組織内におけるコミュニケーションの取り方にも違いはありますが、実は共通点も多くあります。違いを理解した上で共通点をうまく活用したいですね。

「資源」と「需要」が鍵を握る

NBSでは今年、新たにタイ視察プログラム『NBSビジネスミッション』を始動する。
「現場に行って、現物を見て、現実を知る」の三現主義に基づき、人口6億人を有するASEAN市場の商機を獲得するヒントを、タイ政府機関や現地企業、タイ人消費者から学ぶ体験型のプログラムとなる。タイ側のコーディネーターを務めるのは、ガンタトーン氏率いるメディエーター社だ。

ガンタトーン氏:
タイの企業は食品加工業など、元々持っている資源を使った商売に強い傾向があります。対する日本は資源がない分、自動車や家電など生活をより豊かにする産業に強く、ものづくり大国として成功しました。ニーズを汲み取り、深く考え、ものづくりに反映することが得意な日本人ですが、タイに来ると日本のやり方そのままでビジネスを進め、苦戦することが多いように感じます。失敗から学ぶのも方法ですが、より早く現地でのビジネスを軌道に乗せるためには、まずタイのリアルな状況とニーズ、使える資源を知ってほしいと思っています。そのヒントは、タイ企業やタイ人消費者が持っています。
私はいつも「タイという1つの国の中には、2つの国がある」と説明するのですが、バンコク首都圏と地方では市場がまったく異なります。巨大市場ではありませんから、地場企業も相当に調査・研究していますよ。統計から読み取るマクロな数字も大事ですが、現場のリアルが必ずしもその数字通りとは限りません。自社の商品やビジネスにとって本当に的を射た情報を仕入れているか、今一度考える機会にしてもらえたらと思っています。ミッションには日本語だけでなく、日本の文化や社会制度まで熟知した当社タイ人チームが同行します。タイ、そしてタイ人に対する正直な思いや疑問を思い切りぶつけていただき、タイでのビジネスをより具体的にイメージする機会になれば幸いです。

【NBSアジア2017特別講座『タイ・メコン マネジメント&人材育成フォーラム』】
◆5月24日(水)14:30-18:00
第1回「タイを知る」(サシン講師陣による特別講演)~タイとメコンの「今」を知り、地域事業戦略・ローカル組織&人材マネジメントを考える~
◆6月2日(金)13:30-17:00
第2回「タイ人を知る」~知っておくべきタイ人の仕事観、ビジネス文化~
◆6月13日(火)13:30-17:00
第3回「タイ人(部下)の育て方を知る」
~タイ人のモチベーションを引き出す人材マネジメントとは~
※有料、事前登録制。会場はいずれもバンコク市内

【公開募集型タイ視察プログラム NBSビジネスミッション】
◆7月11日(火)~14日(金) エグゼクティブミッション
「タイ・メコン地域のビジネス最前線を学ぶ 4日間」
◆9月5日(火)~8日(金)
「タイの食品ビジネスを“線”で学ぶ 4日間」
◆10月4日(水)~7日(土)
「タイ人の心を掴むマーケティング戦略を学ぶ 4日間」
◆11月21日(火)~24日(金)
「タイの健康・ヘルスケアビジネスを学ぶ 4日間」

詳しい情報はこちらで! http://school.nikkei.co.jp/special/nbsasia/index.html

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