日刊工業新聞

グローバル 経営 適地生産適地販売 サイサン−LPG 新興国需要開拓

日本品質・手軽さ武器に/仕入れ体制整えスケールメリット狙う

サイサン(さいたま市大宮区、川本武彦社長)は、アジアでの液化石油ガス(LPG)需要の掘り起こしに力を入れている。展開国はベトナム、インドネシアなど6カ国。導管式のガス供給に対し、手軽にエネルギーを使えるLPGに商機があるとみている。今後、進出先で需要を広げ、原料の仕入れ体制も整備して、現在の海外売上高比率約14%を4-5年後をめどに30%程度に引き上げる計画だ。


手軽にエネルギーを使えるLPGに商機があるとみてアジアの新興国に積極的に進出

「(新興国での)LPGの成長性は高い」。小池聡樹海外事業部長はこう話す。サイサンはモンゴル、ベトナム、インドネシア、カンボジア、バングラデシュなどという新興国で、現地企業に資本参加するなどしてLPGの需要を開拓中だ。

導管式の都市ガス供給は多額のインフラ整備コストがかかる。LPG方式なら、個別家庭用はハンドリングのよいシリンダー(ボンベ)タイプでの供給であり、また大口需要先ならば備蓄用の拠点を設置し、簡易にエネルギーが使用できる強みがある。エネルギー需要が旺盛な新興国には低コストで活用できるLPG方式が適しているというわけだ。
進出国でのLPG調達は現在、中近東からの輸入、あるいは業者からの仕入れだ。今後、東南アジア諸国での需要がまとまれば「統括仕入れ方式」により調達コストが低減できるのではないかとみている。

例えば、ベトナムでは現在、12万トン程度と規模的には相当量ある。その他の国も販売量が伸びてくれば、中近東の産出国から一括して仕入れ「スケールメリットを引き出すことも考えられる」(小池部長)という。一括仕入れでは価格交渉が可能となる。そのため、現地パートナー企業の販売店網を活用して産業用や個人向けなど需要の開拓を行っている。一方、日系企業の東南アジアのネットワークを活用する営業も展開中だ。
ベトナムに進出している取引先が、カンボジアなどにも進出していたら、ベトナムでの実績や関係を通じて需要を獲得するという営業活動を展開。「各国で有機的にシェアを引き上げていく」(同)という。

バングラデシュ、カンボジアは昨年進出したばかり。需要の掘り起こしを実施している最中だ。バングラデシュでは10カ所のオートステーション建設に着手し、顧客がLPGの供給を手軽に受けられるように整備している。
サイサンはアジア市場の開拓に当たって「現地企業との競争は厳しい」としながらも「迅速な供給体制やきれいなシリンダーで配送するという、安心安全の日本品質をアピールし需要を獲得していきたい」(同)とする。「最近は少々価格が高くても安心できることが浸透し始めている」(同)と今後に期待がかかる。

※記事提供・日刊工業新聞(森谷信雄 2017/8/9)

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