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カンボジア、ラオス、ミャンマーの基本法制度比較⑮「M&A比較」

カンボジア、ラオス、ミャンマーの基本法制度比較⑮「M&A比較」

ミャンマーにおけるM&Aのポイントと留意点

ミャンマーでは、2015年のキリンホールディングスによるMyanmar Brewery Limitedの買収など、大型のM&A事例がありますが、このように純粋な株式譲渡によるM&Aは限定されているというのが実態です。
ミャンマーでは合併やその他組織再編法制が存在しておらず、①株式譲渡、②株式の新規割当、③事業譲渡という方法が取られます。

①株式譲渡は、ミャンマー法人の株式を外国企業が保有した場合、営業許可が与えられるかが不明のため、実務的にあまり利用されていませんが、外国企業が外国企業の株式を購入するスキームは一般的に利用されています。
②株式の新規割当に関する状況は、前述通り、株式譲渡に近い状況となっています。他方③事業譲渡は、外国企業がミャンマー国内に現地法人または合弁会社を設立し、ミャンマー国内企業から事業や資産を引き受けるスキームであり、一般的かつ実務的によくに利用されていると認識しています。

ミャンマーにおける事業譲渡においてもっとも重要なことは、許認可の承継ですが、許認可の承継については明確に規定されておらず、基本的に新会社にて許可を取得し直す必要があります。業種によっては、許可が取得できるか否かは監督省庁の裁量によるケースが多いため、許認可関連事項については、特に現地にて慎重に調査を実施することが推奨されます。

その他にも経験上、事業譲渡の場合、既存の契約を新設法人に締結し直す必要がありますが、契約が口頭でなされるケースが多く、取引関係の全体像が把握できず、クロージング業務について、予想以上に時間を要することが多くなっています。また、現地企業が国際的な契約の締結に慣れていないため、株主間契約や事業譲渡に関する契約書の内容を理解してもらうのに時間を要し、スケジュール通りに進まないという問題に直面するケースも多々あります。


One Asia Lawyersグループ ミャンマー事務所
藪本雄登
現地弁護士と協働し、タイを中心にタイ、カンボジア、ラオス、ミャンマー(CLM)の案件を担当。CLMへのクロスボーダー進出支援業務、M&A、労務、税務、紛争解決案件等を担当。ビエンチャン日本人商工会議所事務局長(2015年)、カンボジア日本人商工会労務委員(2014年、2015年)等を歴任。

One Asia Lawyers (旧JBL Mekong)
One Asia Lawyersは、タイ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム、シンガポール、マレーシア、東京、名古屋にオフィスを有しており、日本企業向けにASEAN地域でのシームレスな法務アドバイザリー業務を行っております。各事務所には、日本人弁護士・専門家が常駐しており、ASEAN地域に特化した進出法務、M&A、コーポレート・ガバナンス、労務、税務、知的財産、不動産、訴訟・仲裁対応などについて、現地法弁護士と連携の上、現地に根付いた最適なサービスを提供しております。
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