法務・会計・税務 2017.07月号

PwC タイ税務スタディ BOIに関連する税務


松下 駿太郎
Manager
2009年にあらた監査法人に入所、日本において製造業を中心に約5年間監査業務に従事。
2015年9月にPwCタイに赴任。タイ国日本企業の会計監査、内部統制監査などの監査業務のサポートだけでなく、会社設立やビジネスライセンス取得、事業再編などを税務および法務面でサポートしている。日本国公認会計士。
+66(0)2 344 1466(直通)、+66(0)98 282 1372(携帯)
matsushita.shuntaro@th.pwc.com

 

<質問>

当社は電子部品製造・輸出業者としてBOI投資恩典を受けて、その事業から生じる最初の収益計上日から8年間の法人税の免税が認められました。製品輸出を考えた場合、最初の収益計上日について売上契約日、出荷日、輸出許可発行日、B/L日、代金受領日といった様々な関連する日付が考えられますが、どれが最初の収益計上日となるのでしょうか?

投資奨励法第31条によると、投資奨励企業は最初の収益計上日から所定の期間内における法人所得税の免税が認められます。投資奨励委員会(BOI)は歳入局とともにガイドラインを発表し、「最初の収益計上日の収益とは、実際基準に基づき最初に実現したもの」であると定めています。そのため、会社がBOI事業の製品を販売した場合、製品対価の支払いの有無にかかわらず、その製品販売日が最初の収益計上となります。

最初の収益計上日と考えられる可能性のある日付が複数ある場合(例:売上契約日、B/L日、輸出許可発行日等)、歳入局は従来、最初の収益計上日は売上契約締結日であるとしていました(タックスルーリングNo.Kor.Khor.0802/15954/仏暦2537年9月8日)。しかし現在は、タイ国会計基準「収益」(TAS No.18)に基づき、物品の所有に伴う重要なリスクと経済価値が買手に移転した日とされています。(タックスルーリングNo.Kor.Khor.0811/16548/仏暦2541年12月1日)。会計上販売取引における収益は、次の要件すべてが満たされたときに認識され、その時点が収益計上日となります。

(1)物品の所有に伴う重要なリスクと経済価値が企業から買手に移転した

(2)企業が、販売された物品に対して所有に通常関連する程度の継続的な管理上の関与も有効な支配も有していない

(3)収益の額が確実に測定できる

(4)取引に関連する経済的便益が企業に流入することがほぼ確実である

(5)取引に関連して発生したあるいは発生する原価を確実に測定できる

収益の認識は条件によりケースバイケースで判断されますが、通常、タイ国内販売の場合は工場出荷日、輸出販売の場合にはB/L日が収益計上日となります。

 

<質問>

BOI企業が運転資金を約束手形、預金、その他の流動資産および固定資産で運用し、利息を受け取っています。発生した受取利息は、法人税の計算上、益金算入すべきですか?

投資奨励法第31条に基づき、BOIが認可した事業(以下、BOI事業)から生ずる利益については、与えられた期間において法人税が免除されます。但し、法人税が免除される利益は、BOI事業から生じたものに限定されます(詳細は第6回(本誌2016年5月号掲載)、固定資産の除却に係る税務(2)を参照下さい)。

歳入局は、歳入局通達(仏暦2530年)に基づき、非BOI事業からの利益(機械売却益、為替差益、通常の事業活動から生じた受取利息など)についても法人税の免除を与えています。

但し、受取利息については、すべての種類の利息について法人税免除を認めているわけではありません。免税対象となるのは預金利息のみであり、かつBOI事業所得の2%相当額を上限としています。したがって、約束手形や非預金勘定から生じた受取利息については、課税対象となります(タックスルーリングNo.0802/578/仏暦2532年1月17日、最高裁判決仏暦2543年8952号)。

 

<質問>

BOI事業と非BOI事業を行っている会社で、法人税の免税恩典期間が2017年3月に切れます。株主への配当を計画しているのですが、配当を行った場合の税金はどうなりますか?

投資奨励法第31条、34条によると、BOI事業を行っている会社は付与された期間内において法人税が免除され、BOI事業の利益から分配される配当についても受取人の所得税が免除されます。したがってBOI事業を営む会社から配当を受領する者は、個人であろうと法人であろうと配当に係る所得税は免除され、BOI企業は配当支払時の源泉徴収をする必要はありません。

ただし、この免税措置を受けるためには、BOI事業の法人税免税期間内に配当決議を行い、それが実際に「支払われる」必要があります(歳入局通達:投資奨励恩典を有する法人/パートナーシップの純利益、純損失の計算)。例えば、12月31日に事業年度が終了するBOI企業の法人税免税恩典期間が3月31日に切れる場合、BOI事業からの配当を無税で行うには、3月31日までに配当手続を終了し、全株主へ配当を支払わなければなりません。

さらに当通達によると、免税はBOI事業の利益から分配される配当に限られ、非BOI事業からの配当には免税恩典は付与されません。奨励会社がBOI事業と非BOI事業を行っている場合で、どの部分がBOI事業からの配当で、どの部分がそうでないかを明確にしている場合には、BOI事業からの配当のみが免税となります。しかし、BOI事業からの配当部分が明確でない場合、BOI事業と非BOI事業それぞれの利益に比例して、配当原資が使われたものとします。

◎ このコラムは「時事速報BANGKOK」で以下年月に掲載されたものです。
2016年10月5日

PricewaterhouseCoopers Legal & Tax Consultants Ltd.
15th Floor Bangkok City Tower, 179/74-80 South Sathorn Road, Bangkok 10120, Thailand
Tel : 0 2344 1000

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