中野陽介コラム

日本人ハンドパン路上演奏者 (フランス/パリ)- 世界の路上ワーカー

4 日本人ハンドパン路上演奏者(フランス/パリ)

ルーブル美術館辺りを歩いていると、聞いたことのない優しい音色が響いてきた。
UFO のような形をした物を黙々と叩いている。 音色も見た目も珍しいから次々と人々が立ち止まる。楽器専用ケースの一方をマネーボックス代わりにして、もう片方には色とりどりの折り鶴が折られていた。

ハンドパンという楽器らしく、この楽器で路上ワークしながら世界中を旅しているという。 出勤日数:週3~4日、出勤日時:17~23 時、出勤場所:音色が届きやすい場所で演奏に入り込める場所。1 日の売り上げ:MIN 5,000 円 MAX 20,000 円。

「なぜこの楽器を始めたの?」「打楽器だけど音階があって面白そうだったし、ピースフルな音色なのも気に入ったんだ」「この楽器いくらくらいするの?」「20 万円くらいしたよ。まだ大量生産できる楽器じゃないから高いんだ。でも路上ワークで買って2ヵ月で回収したけどね」「なんで折り鶴を折ってるの?」「子供たちがお金を入れてくれる時に、なにかお返しがしたいと思って、折り鶴を用意しているんだよ」「お金より大切なものは?」「楽しむという心持ち。楽しめばお金はなんとかなるよ」「将来に対する不安はある?」「特にない」「あなたにとって神ってなに?」「宇宙だ」
宇宙の隅々まで響き渡るようなピースフルな音色を彼は黙々と奏でていた。子供がお金を入れてくれた。 彼は笑顔で折り鶴を子供に渡し、子供は笑顔になって親の足元へ帰っていった。

Facebook, Twitter, Instagram: ‘handpanjourney’


中野陽介 芸術家。1987年福岡生まれ。07年渡米、Los Angeles City College卒業。数々の映画制作に参加後、芸術に目覚める。12年 渡タイ、バンコクで芸術家とサラリーマンの2足のわらじ生活を送る。16年に1年間で22ヵ国を巡る世界一周旅を敢行。自作の「芸術入門サイト」(art-geijutsu.com)は10万アクセス突破。作品や活動記録は下記サイト参照。
yosukenakano.com

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