タイでSCGと宅急便事業に至った目的とは?
タイ人ドライバーを指導する日本人インストラクター
ヤマトグループは創業100周年となる2019年に向けて、「アジアでナンバー1の流通・生活支援ソリューションプロバイダーになる」という経営ビジョンのもと、事業を進めています。東南アジアにおける宅急便事業に関しては、2010年のシンガポールを皮切りに、11年にマレーシア、17年からはタイで開始しています。
東南アジア域内において、タイはカンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナムといった、陸で繋がる他国の中心に位置するという地理的な魅力も持ち合わせています。また国内ビジネスに目を向けても、タイは人口ボリュームがあり、国内のスマートフォン普及率やSNS利用率を見ても、タイのEC市場はさらなる成長が期待でき、宅急便事業の次なる市場として魅力的な候補国でした。
ヤマトグループとしては企業間物流を中心とした現地法人をタイで立ち上げ、事業を行っていましたが、宅配のマーケットには参入していませんでした。EC市場の成長、中でもマーケットプレイスを介した個人間のやり取りが活発であることから、次の事業としてBtoC、CtoC向け小口配送サービスへの参入を探っていたところ、タイで暮らす皆様のための社会的なインフラを目指す本事業において、SCGとヤマトグループが共に持つ社会貢献を重視した企業理念が一致し、SCG Yamato Express Co., Ltd.(以下、SCGヤマト)の設立に至りました。
現在、宅急便サービスの提供エリアはバンコクおよび近郊県と東部8県に限られていますが、18年中にはタイ全国に範囲を広げ、増加する宅配需要に応えるため全国配送を目指して奔走しています。
「クール宅急便」事業、浸透の見込みは?
SCGヤマトの配送トラック
現在のタイにおいても保冷物流は複数業者が貸切輸送をベースに行っていますが、個人でも利用できる小口の保冷物流のサービスとしては、「クール宅急便」が初となります。日本からタイへ配送する国際クール宅急便も提供を開始済みです。
日本のように、地方で穫れた農産物を保冷物流で都心に輸送して販売する〝産地直送〟の市場を拓くことで、今後はこういった新たなBtoCのビジネスモデルを拡大していきたいと考えています。加えて、例えば地方で暮らす両親が、都心に住む子供に贈り物として生鮮品などを届けるというような、CtoCの宅配文化もこれから浸透させていきたいと考えています。まだ認知度は低いですが、タイの方にとっては初めて体感するサービスなので、集荷の際に持参した保冷機材を写真に撮り、SNSでアップしてくれる方もおり、興味は持っていただけているという手応えはあります。
小口配送サービス市場で勝ち抜くための戦略とは?
タイで使用されている宅配用ボックス
国内小口配送サービスの市場には、国営タイランドポストに加えていくつかの民間企業が参入済みで、SCGヤマトは後発です。しかしながら、タイで「モノを送る」時の選択肢は限られており、利用されるお客様にとって満足いく状況にはまだ達していないと捉えています。日本では宅急便の誕生により、国民の生活を大きく変化させてきました。タイにおいても、クール宅急便や宅急便コレクト、集荷・再配達といったお客様の利便性を追及したサービスの提供と併せて、品質の高いサービスも提供できるよう、日本で宅急便のドライバーを経験したインストラクターが、タイ人ドライバーの指導を行っています。
タイではまだ宅急便が身近なものとは言い切れませんが、お客様に満足していただけるサービスを提供することで、宅急便がタイの皆様の生活に浸透し、より便利で豊かな社会の実現に貢献することが当社の使命だと思っています。
タイ初となるクール宅急便は集荷サービスも行っている
SCG Yamato Express Co., Ltd.
山﨑 栄 Deputy Managing Director
SCG Yamato Express Co., Ltd.
41st Fl., Cyber World Tower, 90 Ratchadapisek Rd., Huaykwang, Bangkok 10310
TEL : 02-239-8999
HP : www.scgexpress.co.th