日本弁理士会・ジェトロ、タイを中心とするアセアン知財基礎セミナーを開催

日本弁理士会とジェトロ・バンコク事務所は9日、タイを中心とするアセアン知財基礎セミナー&交流会を開催した。

講師を務めたジェトロ・バンコク事務所 知的財産部の石川勇介弁理士は「タイ税関によるとタイで流通している模倣品の約90%は中国製で、多くは陸路を通じて流入する。商標権・著作権の侵害製品カテゴリーの1位はアパレル、2位は鞄、3位はコスメと一般消費財が上位を占める。タイ政府は知財侵害への取り締まりを強化しているが陸路での税関差し止めは困難でることが現実だ。対策として、商標権による保護マークを税関登録とThaiipr.comへ登録すること、自社のコピー品を見つけたときは証拠を集め警察に告訴すること」と述べた。

また、退職後の情報漏洩にも注意が必要だ。タイでは営業秘密法が2002年に制定・公布され2015年に改正し、民事的・刑事的救済が認められているが、労働契約・就業規則に退職後の秘密漏洩に関する内容を入れておくことを勧めた。当たり前と思える内容だが、タイ語の就業規則のニュアンスも含め改めてチェックしたいところだ。

日系企業にとって知財案件では被害者になることが多いが、加害者になることもあるという。特に多いのが違法ビジネスソフト(海賊版ソフト)の利用だ。気付かずに利用したとはいえ、内部告発(通報者には奨励金制度あり)などにより発覚したときは、2年間の立ち入り検査とそのための費用請求、現地新聞と英字新聞への謝罪広告など多くのペナルティが科せられる。

最後に石川氏は「ジェトロはたくさんの事例、有益な情報を持っているのでもっと活用して欲しい。例えば、ジェトロで情報を整理してから弁護士に相談するのも利用の一つ。気軽に利用して欲しい」と述べた。

 

<参考資料>

 

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