高齢社会が到来、NPOケナンが警鐘

非営利団体(NPO)のケナン・インスティテュート・アジアは11月7日、バンコク市内のホテルで国際カンファレンス「NextGen Aging – Shaping a Smart Future for an Aging Society」を開催した。タイでは少子高齢化が進んでおり、昨年末時点で60歳以上の高齢者が人口の約17%を占めている。今後、高齢者は毎年100万人づつ増えると予測される一方、社会保障制度が十分に整備されていないのが現状だ。

国連の定義によると、65歳以上が総人口に占める割合が7%を超えると「高齢化社会」となるが、タイはすでに10%を超えている。21年には20%、36年には約30%となり、かなりのスピードで超高齢社会に突入すると予測される。ケナンのチャダ会長は、「タイは先進国になる前に高齢社会に突入する」と警鐘を鳴らす。社会開発・人間安全保障省のポラメティ事務次官は、「AI(人口知能)などを利用して高齢者の世話をする時代に入った。健康を維持するために、身体に有害な喫煙や肥満などを防止することも不可欠だ」と強調した。

米ノースキャロライナ大学チャペルヒル校ケナンーフラグラー・ビジネススクールのグリス非常勤教授は、「アジアでは中国とタイが突出して高齢化が加速している。様々な外部要因に対応するために、コミュニティの社会基盤や健康増進など4つの点を整える必要がある。先進国の中では、日本とドイツが進んでいる」と説明。一方、高齢者向けのビジネスが経済効果を生むことを付け加えた。日本からは北海道大学の大林由英 助教授がパネルディスカッションに参加したほか、タイのトンブリ・ヘルスケア・グループの創業者、ブーン会長が高齢者の世界的な老化傾向などで意見を交換した。

ケナンは米国とタイの共同方式で運営されており、持続可能な社会の実現を目指して、教育、医療など様々な分野で活動している。今回はタイで初めて高齢者の生活を向上を目的としたカンファレンスを開催した。

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