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活発化するタイ、GMSエリア内M&A タイ経済は年明けから上向きに期待

ASEAN地域で活躍する日系企業を紹介
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Daiwa Securities Co., Ltd.

daiwa securities工藤裕徳 くどうゆうとく

日本国内有数の証券会社である、大和証券グループのバンコク駐在員事務所が設立されたのは2006年。13年にタイ大手証券会社、タナチャート証券と業務提携を締結したことにより、日本および海外の機関投資家に対してアナリスト・レポートを提供、タイ株式や金融商品の提案も可能となった。ただし、駐在員事務所であるためにタイの法律上、株式、金融商品売買などの営業活動は行っていない。
駐在員事務所のまま活動していることに対し、工藤裕徳所長は、「現地法人化するという考えもありましたが、株式売買を自社で行うには、システムの構築や自前でアナリストを揃えなければならないなど、莫大なコストを必要とします。それよりはタナチャート証券と提携して、株式売買、アナリスト・レポートの提供をお願いしたほうがメリットが大き
いと判断しました」と話す。
同事務所はタイ株式のほかにも、企業や政府機関が海外で発行する債券の引受業務などを行うデット・キャピタル・マーケット業務も行っているが、メインとなるのはM&Aに関する情報収集だ。
「日本からの対アセアン地域投資は活発化しており、中でもタイは人気国です。また、タイ企業のアセアン諸国への進出も増加傾向にあり、常に注視しています。東京、香港、シンガポールなどの当社グループと共同で、アセアン全体の情報を収集しているのですが、最近では特にタイからタイ周辺国のカンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナムといったいわゆるGMSエリアでのM&A案件が活発化しており、調査依頼や相談を受けることが増えてきました」。

低迷するタイ経済の今後は?

低調を脱して経済成長を続けるには、タイ1国だけでは厳しい状況だと言われている。輸
出額で見れば2015年10月に前年同月比4%増となったが、15年1月から9月までは連続して前年実績を割り、また、タイ国内新車販売台数は15年9月時で前年同月比10.5%減、1月〜9月累計で前年同期比14.6%減との報道もあった。「自動車メーカーでタイ国内販売から輸出に注力していく動きが見られること、また、ミャンマーにおける自動車市場も視界が明るいことから、自動車販売に関しては年明けより徐々に上向いてくると考えています。もうひとつのポイントは政策金利です。タイ中央銀行は11月4日、市場の予想通り金利を1.50%に据え置きました。年明けには米国が金利を上げることも予想されており、対ドルでバーツ安が進むことも想定されるため、輸出が刺激されるのではないかと期待しています」タイ国内産業の注目株は大手に限らず、中堅企業もタイから周辺国あるいは日本へ投資を行っているエネルギー関係だという。そのほか、医療関係、食品・飲料、あるいはモバイル関連などの通信業界の市場も明 るい。
「かつては日タイ間のM&Aといえば、日本企業によるタイ企業への出資が圧倒的であり
ましたが、最近はタイ企業も実力を付けてきており、タイ企業による日本企業への出資の検討も多くなされてきています。当社はアジアのほとんど国に拠点および提携金融機関がありますので、タイからほかのアジア諸国、あるいはその逆のM&Aニーズに十分にお応えできると自負しています。来年もアジアにおけるM&Aに注力していきます。

daiwa
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