ビジネス・経済 2018.06月号

一筋縄ではいかないタイ会計管理向上の話

監査・不正・税務調査・内部統制・会計システム等でお悩みの企業様へ

経理マネージャーによる不正は怖い

新興国で多い従業員による不正、その中でも会計に大きな権限を持つ経理マネージャーが横領を働くと被害額が大きくなります。

これは、経理部が「金銭」と「帳簿」の両者を同時に取り扱うためです。会社の資産類は、管理書類によって有高の管理が行われます。つまり、「資産」と「その資産の管理書類」は1セットの存在ですが、横領行為を隠蔽する際は、この管理書類を改変する場合が多いのです。

ここで、「金銭」の究極の管理書類は「帳簿」ですが、経理部は、この「金銭」「帳簿」の両者を同時に扱っているため、「金銭横領+帳簿改変」という隠蔽行為を行い易い立場にあります。

特に経理マネージャーは経理部内で強力な権限を持っているため、ある意味で、最も不正を行い易い立場にあると言えます。図表は経理マネージャーによる不正事例ですが、同じ手口による不正を多く見聞きします(横領をしながら会社を渡り歩いている人間がいるのではと思うほどです)。

不正をどのように防ぐか

そこで、マネージャーの権限をどう制限するかが問題となります。有効な方法の1つが、「仕訳伝票(Journal voucher)」の2名以上での作成・承認による隠蔽防止です。

しかし、ある事例では、マネージャーが部下に対し「この仕訳は私が自分で作成しておく」と伝え、伝票を作成、自己承認を行い隠蔽を行っています。

これを発見するためには内部監査が有効です。全ての伝票の監査は工数的に難しいとしても、ランダムに1月分の伝票のサイン状況・証憑添付状況を年数回確認するだけでも大きな抑止効果が期待できます。

また、仕訳伝票のほか、重要な金銭管理書類を2名以上で作成・承認させ、そのサイン欄を定期的に内部監査することも有効です。具体的には、小口現金出納帳(Petty cash ledger)、銀行勘定調整表(Bank reconciliation)といったものです。

内部監査というと「面倒くさいもの」というのが通常の感覚かと思いますが、できる範囲で実施するだけでも抑止効果がありますので、ぜひトライしてみてください。

西川 和輝 (日本国公認会計士)
BBS (Thailand) Co., Ltd.
早稲田大学商学部在学中に公認会計士合格。卒業後、あずさ監査法人に入所。上場、中小問わず幅広い規模・業態の監査に従事。2014年よりBBS(Thailand)にて会計コンサルタントとして在泰日系企業の会計管理水準向上を支援。

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