ブック 2018.10月号

物資的な豊さを考察するきっかけに

『美しき日本の残像 ― かつての、今の日本の姿を見つめる』

Konami Amusement (Thailand) Co., Ltd.
坂口 良

2013年、株式会社コナミデジタルエンタテインメント入社。同年から香港現地法人責任者。2018年バンコクで株式会社コナミアミューズメントの現地法人を立ち上げ、10年振り2回目の赴任。他に、北京、香港、シンガポールにも駐在経験有り。
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https://www.konami.com/amusement/asia/

子供の頃に見た美しい日本への憧れを追い求めて日本に住み始めた米国出身の青年が、日本の伝統文化や自然の景観を楽しみつつも変わりゆく状況への哀愁と失望を淡々と描いた作品。賛否両論を呼んだが、かつての美しき日本の残像を追うとともに、日本への深い愛情が行間ににじみ出ており、外国人で初めて新潮学芸賞を受賞した。

「日本を離れて初めて日本を客観的に見る視座を持てたとは、よく聞く話です」とアジアを中心に海外生活が長い坂口氏。「それでは、本当の外国人が深い知識を持って日本を見た場合にはどのように見えるのか」と同書を手にした理由を説明する。

神奈川県茅ケ崎市で育った坂口氏は、「子供のころに親しんだ自然がなくなり、田畑は多くの自転車が往来する道路と住宅になった。日本も含めてアジアは物質的な豊かさを求める中で多くのものを失ってしまったというがそれが本当なのか、良かったことなのか、これからどうすべきなのか」と忘れかけてしまっていた風景へ思いを馳せる。

「正解はどこにも無いのかもしれないが、自分なりに考察するきっかけとなる」と本書を薦める。「アジアの『経済発展』を現地で体験する中でそれぞれの国の変化も変わらない部分も感じていたため、本書は考えさせられる内容だ。海外在住を経験した日本人の皆さんにも興味を持ってもらえるのではないか」。著者は現在、タイに拠点を移し日本ともを行き来しながら、文化活動を行っているという。

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