ビジネス・経済 2018.09月号

インドネシアのxEV政策動向と「メーキング・インドネシア 4.0」(後編)

インドネシアのxEV政策動向と「メーキング・インドネシア 4.0」(後編)

(前回の続き)

今後、インドネシアのxEV政策は「メーキング・インドネシア 4.0」の政策の一環として推進されることが予想されるが、まだ具体策は公表されておらず、冒頭のトヨタのプロジェクトのようなパイロット・プロジェクトが最近になって始動した状況である。

メーキング・インドネシア 4.0政策の発表前にも、DEN(Indonesia National Energy Council)が2025年までに200万台のCNG/LPG(天然ガス、液化ガス)、 HEV(ハイブリッド)/EVの 普及、210万台の電気スクーターの普及、1,000基の充電ステーションの設置などを提言しているが、目標を実現するための具体的な政策/規制はまだ用意されていない。また、高等教育・科学技術省が中心となって国家電気自動車プロジェクト(MOLINA)がバンドン工科大学(ITB)やスラバヤ工科大学(ITS)、国内9校の大学との協力で実施されているが、資金不足などから初期のプロトタイプの開発に留まっており、商業化までに至っていない。

xEV政策の課題

インドネシアでxEV政策が推進されるためには、第一に産業育成、貿易政策、インフラ開発、エネルギー政策など政策が省庁をまたがるために、関連省庁間連携で政策形成・実施する仕組みづくりが欠かせない。工業省は、メーキング・インドネシア 4.0の一環として工業大臣を議長とした16省庁が参加する、国家工業委員会を立ち上げることを計画している。ただし、組織ができあがったとしても、上からの強力なリーダーシップがなければ縦割り志向の強い官公庁の慣習を打ち破ることは難しい。

第二に欠かせないのが、車両や燃料の税率の是正だ。現在の奢侈税の体系は、MPV(トヨタ・アバンザ等の3列7人乗り)タイプや小型内燃機関車が優遇されているうえに、燃料が一部補助されており、ユーザーがxEVにメリットを見出しにくい条件である。xEVに対する恩典税制は欠かせない。ただし、バッテリーなどの基幹部品の国産化の目途がつかないと、政府としても大胆な優遇策を打ち出すことは難しい。

第三に、インフラ整備が挙げられる。xEVに関わるインフラとして、バッテリー充電インフラ整備の重要性が指摘されるが、インドネシアでは、まずアセアンで最悪とされる渋滞の緩和が最優先されるべきであろう。xEVにとって渋滞はバッテリーの無駄な消費につながり、EVの使用環境に向かないからである。

(ArayZ10月号に続く)

執筆者:野村総合研究所タイ


マネージング・ダイレクター
岡崎啓一


シニアコンサルタント
山本 肇

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