【野村総合研究所】タイ、アセアンの自動車ビジネス新潮流を読む

マレーシアの自動車市場の概況とxEV政策動向(前編)

マレーシアの自動車市場の概況とxEV政策動向(前編)

マレーシア自動車市場は2017年に約57万7千台台であり、アセアンでインドネシアとタイに続く第三位の市場である。マレーシアは伝統的にプロトンを初めとするマレーシア資本の国民車に対する優遇政策をとってきたが、昨年5月に国民車の代表的な存在であったプロトンが中国系の吉利汽車に買収された。

他方で、マレーシア政府は、2010年代半ばに電動化ブループリント(National Electric Mobility Blueprint)を発表し、アセアンで最初のx-EV(電動化)政策を打ち出ており、電動車のハブを目指している。本稿ではマレーシアの自動車市場の概況とx-EV政策動向をみながら、マレーシアのx-EVのハブ化の可能性と課題について述べる。

市場概要

マレーシアの市場は、過去の2015年に過去最高の66万台を記録してから、2017年に57万7千台へと2年連続の減少しており、頭打ち状態にある。マレーシアの四輪保有台数は1300万台に到達し、1.6人に1台の普及まで進んでおり、既に普及は成熟段階にあるために、今後の市場の拡大は人口の伸び以上には期待できない。

その一方で、域内からの完成車、ノックダウン関税のゼロへの引き下げや、1800cc以上の自動車生産への外資投資の緩和等により、近年、日系メーカーを含む外資メーカーが攻勢を強めており、市場構造の変化がみられる。

(ArayZ11月号に続く)

執筆者:野村総合研究所タイ


マネージング・ダイレクター
岡崎啓一


シニアコンサルタント
山本 肇

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