【野村総合研究所】タイ、アセアンの自動車ビジネス新潮流を読む

アセアンでの電動化を巡る主導権争いと中国メーカーの戦略

アセアンでの電動化を巡る主導権争いと中国メーカーの戦略

2019~20年は、アセアンで自動車の電動化を巡る日欧中メーカーの主導権争いが激化することが予想される。アセアン諸国の電動化政策が一通り出揃い、各メーカーが得意とする電動車の普及を図るために、xEVの販売・生産が立ち上がるためだ。日系メーカーでは、アセアンで高シェアを維持するトヨタ・グループ、ホンダがフルハイブリッド普及を推進する一方で、欧州メーカーはプラグインハイブリッドを展開する。

他方で、中国メーカーは、まだアセアンではプレゼンスが低いものの、将来的には自国での開発が進む電気自動車(EV)の浸透を図るために、手を打ってくるだろう。本稿では、前項に続いて、中国メーカーの戦略から、アセアンでの電動化に与える影響を先読みする。

上海汽車のアセアンでの展開状況

中国メーカーで最も積極的にアセアンに進出しているのは、上海汽車(SAIC)グループである。2013年に、タイ最大の財閥のCPグループと合弁を組み、タイに進出し、17年からはラヨン県のヘマラート2に新工場を設立し、MGブランドで小型乗用車及びSUVを生産。

将来的には、20万台の生産規模を計画しており、右ハンドルの輸出基地として位置づける。また、15年には小型商用車を得意とするグループ会社の上海五菱汽車をインドネシアのジャカルタ郊外(チカラン)に設立し、五菱(Wuling)ブランドで小型MPVを生産する。

執筆者:野村総合研究所タイ


マネージング・ダイレクター
岡崎啓一


シニアコンサルタント
山本 肇

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