ビジネス・経済 2019.05月号

インドネシアのEVバッテリーの拠点化の野望と中国リチウムイオンバッテリーメーカーの進出(後編)

アセアンでのEVサプライチェーン構築を目指す中国メーカー

 インドネシアでの現在の具体的な生産計画はリチウムイオン電池の原料の生産からスタートし、リチウムイオンバッテリーの量産を実現するまでには相当の時間と苦難が見込まれる。

 バッテリーの量産化のためには、さらに数千億円の追加投資が必要であると同時に、低い歩留まりで安定生産する量産技術の移転には時間を要するからである。

 しかし、当プロジェクトが成功した暁には、世界最大の中国系リチウムイオンバッテリーメーカーである寧徳時代新能源科技股 (CATL)がアセアンのxEVのキーデバイスを掌握することが想定される。

 モロワリ県の原料精錬会社の合弁会社5社のなかに、CATLの子会社の邦普循環社も加わっており、電池生産には確実にCATLが参画すると見込まれるからだ。

 その一方で、EVに力を入れる五菱汽車や東風汽車等中国系自動車メーカーがインドネシアに続々進出しており、CATLと連携すれば、同国の自動車産業政策に対する中国メーカーの影響力が高まることが予想される。

 インドネシアで日系メーカーは95%以上のシェアをもち、同国の政策に対して大きな発言権を確保してきたが、中国メーカーの参入で環境が変化しつつある。

 この地域でxEVをめぐる日・ 中・欧の主導権争いが今後激化するなかで、デバイスメーカーを含む日系メーカーは、インドネシア及びアセアンでのxEVのサプライチェーンをどう構築するのか、大胆な決断を迫られているといえよう。

(ArayZ 6 月号に続く)

執筆者:野村総合研究所タイ

マネージング・ダイレクター
田口孝紀


シニアコンサルタント
山本 肇

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