ビジネス・経済 2018.08月号

製造業におけるPMI③

日本とアジアで20年、1300社の経営に
寄り添ってきたエスネットワークスが解説する、
在アジア日系企業の経営管理術。

資金管理の必要性

第3回も引き続き、アジアでの製造業におけるPMI(管理体制)について取り上げたいと思います。第1回で在庫適正化、第2回では販売-生産-在庫計画について解説しました。今回は、資金管理についてご説明します。

タイでは親子ローンによって、親会社から資金を借入しているケースが多く見受けられます。グループ間であるため正確な資金繰り表を作成しておらず、「感覚」に近い資金計画を提出して、親子ローンを実行している企業様が多いのではないでしょうか。

このような場合、なぜ資金繰りが悪いのか、どのように返済が行われるのか、事業計画との連動はあるのかなど、資金管理が不明確な状態になっている危険があります。現地法人のMDの方は、資金管理という視点と責任を持って経営を行う必要があるため、今回はこの作成方法について解説していきます。

資金管理のポイント

初めに、月中の資金の動きを把握することに取り組むべきです。これが把握できれば、まず短期での資金予測が可能となるため、突然の資金ショートによる親子ローンの実行は無くなります。そのためには得意先ごとの契約状況を確認し、得意先別の売上管理表をもとに、いつ、いくらの資金が入金されるのか、入金予定表を作成します。次に支払日を定量的に把握する作業を行います。いつ、いくら、何の費用を支払うのか、出金予定表を作成します。これによって、入金と出金状況からある程度の資金予測を立てることが可能となります。

また可能であれば、金融機関との付き合いや融資条件などにより口座を閉鎖するのが難しい場合を除き、未使用口座の閉鎖を行います。定期的な残高の確認や仕訳記帳といった面倒な処理がなくなるので、未使用口座の閉鎖は資金管理を継続させるコツでもあります。それぞれの目的ごとに1口座のみとするような統一の仕組みを心掛けるべきです。
さらに、支払サイト、回収サイトを変更します。一般的に回収サイトは早めに、支払サイトは遅めに設定し、入金したキャッシュを元に支払いができれば、健全な営業資金管理を行うことができます。

これら一連の確認作業が終わった後に、必ず作成したいのが「資金繰り表」です。確認作業を資金繰り表に継続的に記録し、将来予測も踏まえた管理資料の作成が可能となります。資金の調達、投資、回収という一連の企業活動において、この資金繰り表は最も重要な資料であり、会社の将来を予測する資料でもあります。次回以降は、具体的な資金繰り作成方法について解説していきたいと思います。

奥村 宙己
Hiroki Okumura
立命館アジア太平洋大学卒業。2014年、(株)エスネットワークスに新卒として入社。スポット支援として事業計画作成、事業デューデリジェンス、財務デューデリジェンス、M&Aアドバイザリーを担当。常駐支援として管理体制構築支援、月次決算体制構築支援、再生企業の事業計画実行支援、クロスボーダーPMIを担当。タイ国において進出サポート及び会計・税務コンサルティングに従事。

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