ビジネス・経済 2018.09月号

製造業におけるPMI④

日本とアジアで20年、1300社の経営に
寄り添ってきたエスネットワークスが解説する、
在アジア日系企業の経営管理術。

資金繰り表の作成

第4回アジアでの製造業におけるPMI(管理体制)をご説明させて頂きます。今回は資金管理の具体的な作成方法についてご説明させて頂きます。

月次ベースでの資金繰りの作成は必須ですが、それに加えて日ごとの入出金を管理する、いわゆる日繰り表を作成すべきか別途判断する必要がございます。判断基準としては、資金余力があるのかが大きなポイントで、前回ご説明させて頂いたように、急な親子ローンが発生している、支払先への延期を過去依頼したことがある会社は、日繰り表の作成が必要であると筆者は考えております。

資金繰り表を作成する場合、将来何ヵ月分作成する必要があるかは現地法人取締役の大事な判断の1つであり、この論点について、最低12ヵ月分は作成が必要だと考えております。1ヵ月~3ヵ月は日繰り表を元に精度の高い資金繰り表を作成し、3ヵ月以上は事業計画の数値(全社ベースで作成したもの)を元に資金繰り表を作成していきます。また、ベースとなる事業計画や予算数値は保守的なものを採用し、そこに投資の最大額を加えて作成する(ワーストケースを想定)事が望ましいです。

これは資金ショートという企業としての最悪のリスクをヘッジしなければならない責任が現地法人取締役にあるからです。また、常に各事業部と定期的な経営管理ミーティングを設け、売上マイナス5%やコストプラス5%などの予測が発覚した場合には、すぐさま資金繰り表の情報を更新し、資金ショートを未然に防ぐ必要がございます。

それでも急なキャッシュアウトによって資金繰りが悪化した場合には、左記順番で短期的に対応することによって、資金ショートを短期的ですが、未然に防ぐことができます。

1.グループ間取引に支払延期依頼
2.懇意にしている業者に支払延期の依頼
3.役員報酬の減額
4.借入金、リース料の延期依頼
5.税金、社会保険の滞納
6.従業員の給与延期依頼

現地取締役の役割

資金管理において、現地法人取締役が果たすべき最も重要な役割はなんでしょうか。あえてひとつ挙げるとすると会社の未来を財務的な観点で予測して行動することと筆者は考えています。資金管理は会社の生命に直結し、会社の将来を決める重要な要因でもあります。資金管理の心理的な負担は大きなものと言えるでしょうが、決して逃げることなく、会社の血液たる資金を確保し、会社の存続を図ります。

加えて、適切な将来への投資を行う事が重要な業務であり、更なる日系企業の発展に繋がればと考えています。

奥村 宙己
Hiroki Okumura
立命館アジア太平洋大学卒業。2014年、(株)エスネットワークスに新卒として入社。スポット支援として事業計画作成、事業デューデリジェンス、財務デューデリジェンス、M&Aアドバイザリーを担当。常駐支援として管理体制構築支援、月次決算体制構築支援、再生企業の事業計画実行支援、クロスボーダーPMIを担当。タイ国において進出サポート及び会計・税務コンサルティングに従事。

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