ビジネス・経済 2019.02月号

アジアでの「CFO経営」 不正事例とその防止策③

日本とアジアで20年、1300社の経営に寄り添ってきたエスネットワークスが解説する、在アジア日系企業の経営管理術。

弊社では過去PMI(合併後の統合)の常駐支援によって、現場で多くの不正を発見して参りました。前回は単独かつスタッフ層のみ関与していたケースを記載させていただきました(下図)。今回は図左上カテゴリーの単独かつマネジメント層が関与していたケースと、その対応策をご説明いたします。

現地企業での問題の事例

現地日本人マネジメント層に対して本社からのチェック機能が存在しない企業が多く、個人にすべてを任せる場合が多いと考えられます。弊社が関与したケースではタイで数千人規模の工場を経営している日系企業が、本社主導 (弊社スタッフがCFOとして常駐支援)でPMI業務を行っていた際に、タイ子会社の粗利が毎月変動し、月次決算も毎月遅延しているという問題が発覚しました。現場の日本人からこの問題に対する原因の説明が不十分であり改善も見られない為、弊社がタイの現場に常駐し何が起きているのか調査を行いました。

弊社が常駐した際に現場では、日本人マネジメント層から非協力的な対応(弊社業務妨害等)があり、日本人から実態を調査する事は不可能であると判断し、タイローカルスタッフを中心にヒアリングを行い、日本人マネジメント層の業務実態を把握しました。この結果から、本社への業績見込み・業績低迷の虚偽報告を行っていたことが発覚しました。

こちらのケースではタイに進出してから長くても2~3年で日本人駐在員は交代になる為、任期の間は問題を起こさず責任逃れをする、という動機から発生したものと考えられます。また、正確な報告が遅れてしまった事により、経営の意思決定を行うタイミングが遅れ、結果として長期に渡り会社業績の悪化を招きました。

問題解決の対応策

弊社が正確な報告を本社に行い、現地マネジメント層の配置転換(帰任等)、外部から経営者を雇用、各セクションのシステムデータや数値データに基づくチェック体制を強化し、迅速かつ正確な情報をレポートし、経営の意思決定を行える体制を強化しました。

タイでは進出してから、10年、20年以上経過している日系企業が多く、経営者として子会社経営をせず、任期が終わるまで問題なく過ごし後任に引継ぐ、という会社も多く見受けられる為、上記のような問題が発生する場合があります。業績の低迷や原因が正確に把握できない場合には、是非弊社にお問い合わせください。

奥村 宙己
Hiroki Okumura
立命館アジア太平洋大学卒業。2014年、(株)エスネットワークスに新卒として入社。スポット支援として事業計画作成、事業デューデリジェンス、財務デューデリジェンス、M&Aアドバイザリーを担当。常駐支援として管理体制構築支援、月次決算体制構築支援、再生企業の事業計画実行支援、クロスボーダーPMIを担当。タイ国において進出サポート及び会計・税務コンサルティングに従事。

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