チュラロンコン大学サシン経営管理大学院提携 『日経ビジネススクールアジア特別講座東京プレセッション』が開催

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5月18日、東京・大手町の日本経済新聞社本社で、チュラロンコン大学サシン経営管理大学院の藤岡資正ファカルティ兼日本センター所長によるセミナーが開催された。タイトルは、「アセアン経済共同体(AEC)と日系企業の地域戦略」。参加者は企業の海外事業担当者を中心に約150名にのぼり、成長するアセアン市場に対する日本企業の関心の高さがうかがえた。

海外戦略はローカル人材を主役に、“面”で攻略する時代に

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藤岡所長は日系上場企業の経営顧問や進出支援に数多く携わる

これまで、「日本とその他のアジア」 という日本中心の立ち位置でビジネスを見ていた日本人は多いのではないだろうか。しかし、日本経済が停滞するなか、アセアンの経済規模は2020年までに米国およびEUに追いつくと言われている。日本中心の考え方から「アジアの中の日本」、選択する立場から選択される立場へ。海外需要の獲得が成長のカギとなる今日、日本企業にはどういった心構えが必要なのだろうか。
一言で海外進出といっても、その意味合いは時代とともに変化している。オイルショック時には、国内市場の低迷に伴い日本製品の輸出が加速するモノのパラダイム、円高時に は低価で製造できる国で生産し、米国や欧州、日本への迂回輸出が拡がる資本移動のパラダイム。そして日本市場が縮小している現在、成長する新興国市場をいかに取り込むかと いうことが、多くの日本企業が直面している海外進出のステージとなり、ヒトの移動のパラダイムへと移行しつつある。
アセアンは、GDP(国内総生産)から見ても貧富の差が激しく、不均一性が高い。そのなかでメコン地域は、人口が多くインフラ整備も進み始めているため、まさにアセアンの経済成長を牽引する立ち位置にあり、世界経済の主戦場になると見られている。地域を結ぶ経済回廊の構築も進み、もはや対一国を攻略するのではなく、面で攻略するリージョナル戦略の時代となった。日本企業には、より現地適用、現地の人々を主役とした戦略が不可欠になったといえる。

求められる柔軟な企業体質と人材育成

こうした時代に応じて、駐在員に求められるスキル、そしてローカル人材に求められるスキルも変化している。現地市場において企業の競争力を高めるためには、現地の視点でリ ージョナル戦略を実践していくローカル人材の存在が欠かせない。駐在員にとっては、地域性や文化的な背景を理解しながらいかに多様な人材をマネジメントし成果をあげられる か、という点が重要な資質となる。
「高い視座を持つこと」。講演中に、藤岡所長は何度も受講者に呼びかけた。旧態依然とした縦型の企業体質では、目まぐるしく変化する経済環境に対応することはできない。現地企業と戦略的なパートナーシップを組み、共に成長、発展すること。多様性を柔軟に受け入れて、価値を「共創」すること。それらを実現する意志を持ち、実行できる人材の育成が、成功への一番の近道となりそうだ。

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