介護用電動ベッド生産拡充
2012年にベトナム・ドンナイ省に設立した「プラッツベトナム」は、ベッドの組み立てや検査を手がける。出荷前の製品を全品検査し、組み立て工程の時間を管理している。また作業工程をカメラで記録するなどで不具合の発生原因を追跡する体制を築いている。
前工程となる金属加工や塗装などは、隣接する関連会社の「SHENG BANG METAL」が手がける。この台湾部品メーカーとの関係を生かし、自動溶接ロボット導入による生産効率化や塗装工程の所要時間を従来の約半分にする活動に取り組んだ。15年には、東証マザーズ上場で得た調達資金を活用して追加出資した。
溶接後の外観検査や塗装による不具合などはプラッツ側が品質管理 (QC)を実施。受け入れ基準を満たしたものをプラッツベトナムへ送り出す。
プラッツの城雅宏社長は、ベトナム進出の効果について「生産の安定化につながった」と語る。以前は、中国の協力工場での委託生産で、日本国内に製品を供給していた。品質に問題はなかったが、検査をくぐり抜けて市場に出るケースが生じていた。また現地での人件費上昇への対応も課題となっていた。
新たなパートナーを求める中で、2輪車メーカーなどへ供給実績を持つ台湾の部品メーカーと提携した。同社と関係を強めていく上で、ベトナムに生産拠点を構えた背景には、外部から加工ノウハウを取り込みつつ、委託生産で難しかった品質管理を自社でコントロールする狙いがあった。
「150‐200個の部品」(谷添慶太郎生産技術課長)が必要なベッドを低コストで製造するには、現地調達率の向上も問われる。それには「日系企業が進出し、調達しやすい環境にあった」(城社長)ことから、現状は90%以上を現地で確保している。
販売面では国内外で新たな市場開拓の動きを進める。16年には医療施設向けベッド市場に参入した。国内で「医療法人の経営がシビアになり、ブランドより機能を求めるようになった」(吹上豪志営業推進部長)という追い風があった。介護用ベッドで得た認知度と低価格を売りに攻勢をかけている。
海外では、16年に入り介護関連機器を扱う中国企業と提携した。将来の高齢化の進展で需要拡大が見込まれる東アジアに照準を定める。「各国の制度や認証に合わせなければならない」(城社長)という壁はあるが、現状で全体の約3%となる海外売上高比率を、徐々に引き上げていく意向だ 。