ビジネス・経済 2019.04月号

愛知製鋼―鍛造部品、現地化を推進

「カンパニー制」で判断加速/日本はマザー拠点、高度な技術を横展開

愛知製鋼は、鍛造事業で各拠点の特色に合わせた戦略を加速している。中国や東南アジア諸国連合(ASEAN)地域は、注力市場として現地供給体制や生産能力を強化。米国では豊富な製品ラインアップを強みに、顧客の取り込みを図る。日本はマザー拠点として、技術の高度化やより生産性の高いラインの横展開を進める。地域ごとのきめ細かい経営判断を支えるのは、2017年に導入した「カンパニー制」だ。

鍛造事業では、主にエンジン用のクランクや変速機のギアなどの自動車向け鍛造部品を手がけている。日本に加えてフィリピン、インドネシア、タイ、中国、米国の計6拠点を抱え、顧客の側で生産する「現地化」を基本戦略に据える。

現在注力するのが、顧客の現地部品調達の要請が高まり、市場も成長しているASEANと中国での事業強化だ。特に計5ライン、年間約3万トンの生産量を有するタイでは、年内にシャフト系部品の鍛造ラインを増設するほか、今後も設備増強を計画。鍛(きたえる)カンパニープレジデントの小島勝憲常務執行役員は「中核拠点として位置づけたい」とし、技術力、生産力ともに強化する方針だ。

また人口増や自動車普及の波を受け、インドネシアも小型車を中心に成長を見込める。現状では鋼材の前加工が中心で鍛造工程は一部だが、小島常務執行役員は「本格的な鍛造拠点にするか、今後検討する」と明かす。

マザー拠点と位置づける日本では、増産投資に加え、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)といった次世代車を見据えた動きを活発化させている。ギアなどの精度が要求され、かつ将来も需要が見込める高度な部品生産への備えを強化。さらに日本で完成度を高めた生産技術を既存の生産ラインに移植し、各地に横展開できるような生産体制の整備に取り組んでいる。「電動化に追従できる鍛造マザーラインの構築を目指す」(小島常務執行役員)。

現地ごとの迅速な判断は、カンパニー制を取り入れてから加速した。専任の「事業統括部」が、収益予想や投資判断も含めた事業戦略を練り、全体を統括する。それまでは組織が細分化され収益性が見えにくい部分があり、製造主導の計画になっていた面もあった。

愛知製鋼の強みは素材から手がけていることによる幅広い製品ラインアップと、それに基づく対応力の高さだ。「総合デパート的なことができる」(同)反面、事業効率を高めるには生産地や投資判断といった戦略をきめ細かく立案する必要がある。

カンパニー制導入後は、グローバルの拠点全体を統括・管理できる体制が整った。生産ラインの新増設や、少量生産から大量生産への移行時に日本で製造するのか、海外拠点で行うのかの判断も迅速になった。小島常務執行役員は「経営スピードは間違いなく速くなっており、精度も上がっている」と自信をみせる。さらなる経営効率向上で、強靱(きょうじん)な事業体をつくり上げる構えだ。

記事提供:日刊工業新聞(政年佐貴恵2019/3/6)


タイの鍛造子会社「アイチフォージ(タイランド)」の外観

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