中野陽介コラム

【スキマ経済】信号待ちのスキマで舞う大道芸人(ブラジル/フォズ・ド・イグアス)

10 【スキマ経済】信号待ちのスキマで舞う大道芸人(ブラジル/フォズ・ド・イグアス)

ここは待ち時間の長い交差点。手持ち無沙汰になり、信号を待つだけの暇なドライバーや通行人がたくさん居る。

舞台は整っているのに演者がいない。そんな絶好のスキマを路上ワーカーは見逃さない。

彼は大道芸人。

まず手始めにオレンジ色のクラブ3本で曲芸披露。ハシゴに登りボールで曲芸。最後にハシゴの上でクラブとボールでのコンボ曲芸。

全てのパフォーマンスを終えると、車の方へ駆け寄ってお金の回収に回る。

車の窓から次々とお金を握ったドライバーの手が出てくる。笑顔のお金回収が終わったと同時に、信号が青に変わった。

信号の長さを体内時計で記憶し、遠くのドライバーにまで見えるようにハシゴを使用したパフォーマンス。

この限られた時空間のサイズをしっかりと認知し、その中で自分が出来る最大限のパフォーマンスを披露する。見事なスキマ大道芸だった。


中野陽介

芸術家。1987年福岡生まれ。07年渡米、Los Angeles City College卒業。数々の映画制作に参加後、芸術に目覚める。12年 渡タイ、バンコクで芸術家とサラリーマンの2足のわらじ生活を送る。16年に1年間で22ヵ国を巡る世界一周旅を敢行。自作の「芸術入門サイト」(art-geijutsu.com)は10万アクセス突破。作品や活動記録は下記サイト参照。
yosukenakano.com

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